欧州委、2023年10月開始のCBAM規則移行期間に向け、実施規則採択

(EU)

ブリュッセル発

2023年08月23日

欧州委員会は8月17日、炭素国境調整メカニズム(CBAM)規則外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます移行期間における報告義務に関する実施規則外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを採択した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。欧州委は、2026年からのCBAM規則の本格適用開始を前に、2023年10月1日から移行措置として、対象製品を輸入する事業者に対して課す報告義務の詳細に関する実施規則案を6月13日に発表していた(2023年6月15日記事参照)。

CBAM規則は、EU域内の事業者が対象製品(鉄、鉄鋼、セメント、肥料、アルミニウム、水素、電力など)をEU域外から輸入する際に、域内で製造した場合に課されるEU排出量取引制度(EU ETS)の炭素価格と同等の価格の支払いを義務付ける。気候中立と経済成長の両立を目指す中で、カーボンリーケージ(規制の緩いEU域外への製造拠点の移転や、域外からの輸入増加)対策と、域内産業の競争力の維持を目的としている。2022年12月の政治合意(関連ブラック ジャック トランプ)を経て、2023年5月17日に施行され、2026年から本格適用が開始される。

CBAM規則では、移行期間を2023年10月1日から2025年12月31日までに設定。実施規則では、移行期間中、対象製品を輸入する事業者に対し、四半期ごとのCBAM報告書を各四半期末から1カ月以内にCBAM移行期登録簿(Transitional Registry)に提出することを義務付けた。初回の提出期限は2024年1月末となる。移行期間中は報告義務のみで炭素価格と同等の支払い義務は発生しない。

欧州委は実施規則の採択に合わせて同日、輸入事業者用ガイドラインとEU域外の事業者用ガイドライン(注)を発表した。また、欧州委は輸入事業者の計算や、報告作業を支援するための専用電子ツールの開発にも取り組んでいるという。9月15日からは対象製品ごとに具体的な内容を説明する6回のウェビナー開催外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを予定している。

実施規則の採択を巡っては、6月13日から7月11日までのパブリックコンサルテーション期間中、187件の意見が寄せられた。温室効果ガス排出量の計算方法について、移行期間途中の2024年12月末まで認められている域外国の類似計算方法や、既存の確立された国際基準を採択することを求める意見などがあった。欧州委はCBAM規則の運用について、本格適用開始前に見直しを行う予定。

()輸入事業者用ガイドライン」および「EU域外の事業者用ガイドライン」は欧州委のCBAMサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますからそれぞれダウンロードできる。

(薮中愛子)

(EU)

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