欧州委、CBAM規則の移行期報告義務に関する実施規則案を発表
(EU)
ブリュッセル発
2023年06月15日
欧州委員会は6月13日、炭素国境調整メカニズム(CBAM)規則の移行期間における報告義務に関する実施規則案を発表した(プレスリリース)。CBAM規則は2022年12月の政治合意(関連ブラック ジャック トランプ)を経て、2023年5月17日に施行された(2023年5月12日記事参照)。2026年からのCBAM規則の本格適用開始を前に、2023年10月1日から移行措置として報告義務が課されることになる。報告義務の詳細を規定した今回の実施規則案は、今夏にも正式に採択される見込み。
CBAM規則は、カーボンリーゲージ(規制の緩いEU域外への製造拠点の移転や域外からの輸入増加)対策と域内産業の競争力維持を目的にしたものだ。2026年の本格適用開始後は、事業者がCBAM対象製品(鉄、鉄鋼、セメント、肥料、アルミニウム、水素、電力など)をEU域外から域内に輸入する際に、対象製品を域内で製造した場合に課させるEU排出量取引制度(EU ETS)の炭素価格と同等の価格の支払いを義務付ける。
実施規則案によると、2023年10月1日から2025年12月31日までに、対象製品を域内に輸入する事業者は、四半期ごとにCBAM報告書を、CBAM移行期登録簿(Transitional Registry)に提出することが義務付けられる。報告書は、各四半期末から1カ月以内に提出することが求められており、初回の提出期限は2024年1月末となる。
報告書に記載すべき内容は、対象製品の輸入量、原産国、生産施設、対象製品の生産時の温室効果ガスの排出量(直接排出分)、対象製品の生産に使用される電気の消費量と発電時の温室効果ガスの排出量(間接排出分)などである。排出量の計算方法については、付属書IIIが規定するEU方式を原則とし、2024年7月末までは事業者の任意の計算方法を、2024年12月末までは域外国の類似の計算方法を、それぞれ使用することができる。2025年1月以降はEU方式のみが認められる。域外の生産国で炭素価格を支払っている場合には、その21 トランプも記載することが求められる。また、報告義務に違反した場合は、未報告の排出量1トン当たり10~50ユーロの罰金が科される。
なお、欧州委は実施規則案に関するパブリックコンサルテーションを実施しており、2023年7月11日まで意見を募集している。
(吉沼啓介)
(EU)
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