バイデン米政権、連邦資金投じるインフラ計画でのバイ・アメリカンの最終規則を発表
(米国)
ニューヨーク発
2023年08月17日
米国のバイデン政権は8月14日、連邦政府が資金を拠出するインフラ事業で使用される建材などが米国製であることを義務付ける最終規則を発表した。同規則は官報で公示されてから60日後に有効となる。
これは、2021年11月に成立したインフラ投資雇用法(2021年11月9日記事参照)に含まれるかたちで成立した「ビルド・アメリカ、バイ・アメリカ法(BABA)」で定めていた事項を行政規則に落とし込んだものだ。すなわち、インフラ計画に使われる全ての鉄鋼、工業製品、建材が米国内で生産されていない限り、連邦政府は資金を拠出しないとの条件の細則を最終決定したことになる。所管する行政管理予算局(OMB)は2023年2月に規則案を発表し、パブリックコメントを募集していた(2023年2月10日記事参照)。
OMBが作成した補足の説明資料によると、「建材」(注)に関する「全ての製造工程」の定義が規則案の段階から大きく変わった。規則案では「全ての製造工程」の対象は最終工程とその直前の工程のみだったが、最終規則では文字どおり全ての製造工程が対象になった。最終規則は連邦規則集(CFR)第2章184条と200条に反映されるが、CFR第2章184.6条によると、例えば「非鉄金属」が「米国内で生産された」とみなされるためには、最初の精錬・鋳造から最終的な成形、コーティング、組み立てに至るまで、全ての製造工程が米国内で行われている必要がある。ただし、当初の規則案どおり、次の3つの類型に該当する場合は、担当の連邦政府機関が国内調達要求の適用を除外することができる。
- 国内調達要求の適用が公共の利益に反する場合。
- 鉄鋼、工業製品、建材の種類が米国内で十分かつ合理的な量または満足できる品質で生産されていない場合。
- 米国内で生産された鉄鋼、工業製品、建材を含めると、インフラ計画全体のコストが25%以上増加する場合。
最終規則の発表に対し、業界ごとに反応は分かれている。メーカーや全米鉄鋼労働組合で構成する「米国製造業のための同盟」は「今回の措置は、納税者が資金を提供するインフラ計画で使用される製品や資材を供給する準備が整っている米国の製造業者とその労働者にとって前向きな一歩だ」と歓迎する声明を出した。一方、大手テック企業などが加盟するブラック ジャック ストラテジー技術産業協会(ITI)は「今日の最もイノベーティブな技術のほとんどは、確立された安全なグローバルサプライチェーンから生まれている」として、IT分野に対するBABAの適用についてより明確な方針を示すよう求めている。
(注)最終規則では、非鉄金属、プラスチックおよびポリマー製品、ガラス、光ファイバーケーブル、光ファイバー、木材、壁材(乾式工法)、エンジニアードウッドの8種類が指定されている。
(磯部真一)
(米国)
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