米小売企業の第2四半期決算、食品など必需品売り上げは好調も先行きは引き続き慎重な見通し

(米国)

ニューヨーク発

2023年08月23日

米国小売り大手ウォルマートは8月17日、2023年第2四半期(5~7月期)決算を発表し、純売上高は前年同期比5.9%増の1,602億8,000ドル、純利益は同56.5%増の80億5,300万ドルとなった。また、2024年通期(2023年2月~2024年1月)の売上高は4~4.5%増を見込み、第1四半期時点の予想の3.5%増から上方修正した。ジョン・レイニー最高財務責任者(CFO)は決算発表時の電話会議で「新学期商戦向けのイベントの好調が売上増に寄与した」「一般商品から食料品や健康関連への売り上げ構成比のシフトがみられた」「消費者が自炊する機会が増え、ブレンダーやミキサーなどの調理器具の売れ行きが伸びた」と述べた。米国では高インフレで食品など必需品の購入を優先する消費傾向が続いており(関連オンライン カジノ ブラック)、同社の売り上げの約半分が食料品や日用品から構成されていることからも(CNN8月17日)、その傾向は依然根強いとみられる。

他方で、米国小売り大手ターゲットは8月16日、第2四半期(5~7月期)決算を発表し、純売上高が前年同期比4.9%減の243億8,400万ドルと、6年ぶりの四半期売上減となった(AP通信8月17日)。2024年通期(2023年2月~2024年1月)の既存店の売上高は1桁台半ばの減少にとどまると見通している。ブライアン・コーネル最高経営責任者(CEO)は決算発表時の電話会議で「高インフレにより、食料品・飲料や必需品のような(買い物をする機会の)頻度の高いカテゴリーの消費者予算に占める割合が非常に高くなっている」「消費者は旅行や娯楽、外食などのサービスへの支出を増やすことを選択している」「景気刺激策としての現金給付の終了、育児税控除の強化、学生ローン支払い停止などの新型コロナ禍で消費者を支援した政府の取り組みの後退が消費者にとって継続的な逆風となっている」と述べた。

また、米国ホームセンターチェーン大手のホーム・デポは8月15日、第2四半期(5~7月期)の決算を発表し、純売上高が前年同期比2.0%減の429億1,600万ドルとなった。2024年通期(2023年2月~2024年1月)の売上高と既存店売上高は前年同期比で2~5%減になると見込んでいる。リチャード・マクフェイル最高財務責任者(CFO)は「高額で、より裁量的な支出に関して、消費者側の警戒が続いている。住宅所有者はこうした高額な買い物を新型コロナ禍の期間に済ませている場合もある」と述べた(CNBC8月15日)。

このように、ターゲットとホーム・デポの両社は景気の先行きに関して慎重な姿勢を示している。ウォルマートは明るい見通しを示したものの、レイニー氏は「2023年いっぱいの経済情勢には、引き続き相応の不透明感がある。インフレが緩和され、雇用水準は安定しているが、信用市場が引き締まり、エネルギー価格が上昇し、一部の顧客は10月の学生ローン支払い再開による追加出費に直面している。そのため、当社も見通しを引き続き適切に評価する」と指摘し、ほか2社と同様に慎重な見方を維持している。

(樫葉さくら)

(米国)

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