UAEのBRICS加盟、バランスのとれた戦略的経済関係を維持
(アラブ首長国連邦、インド、中国、ブラジル、ロシア、南アフリカ共和国)
ドバイ発
2023年08月30日
アラブ首長国連邦(UAE)のムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン大統領は8月24日、UAEのBRICSへの新規加盟が発表された(2023年8月25日記事参照)ことを受け、同日にX(旧ツイッター)上でコメントを発表した。「BRICS首脳のビジョンと、このような重要なグループへのUAEの招待に敬意と感謝の意を伝えたい。これからも世界の人々の繁栄、尊厳、利益のために協調していくことを楽しみにしている」とBRICS各首脳に対して謝意を表明した。
UAEは近年、積極的な全方位外交を進めている。2020年9月には「アブラハム合意」によりイスラエルと国交樹立(2020年9月17日記事参照)し、2021年10月に米国、イスラエル、インド、UAEの新クワッドである「I2U2」を発足した。また、2022年10月にはムハンマド大統領がロシアを訪問してプーチン大統領と会談するなど、従来の対外関係や世界の政治的枠組みにとらわれない外交政策をとっている。アブダッラー・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン外相はBRICSへの加盟について、新興国経済の発展に向けた建設的な議論に参加し、進化し続ける世界秩序の中で、UAEの長期的な経済発展と、バランスのとれた戦略的経済関係を維持する体制をつくることができると述べた。
また、アブダッラー・ビン・トゥーク・アル・マッリー経済相は8月28日、ブルームバーグのテレビチャンネルでインタビューに答えた。今回の加盟については、グローバルサウスの国々との協調関係を強めていく狙いがあるとし、インドやインドネシアをはじめとして多くの国と締結を進める、包括的経済連携協定(CEPA)による経済安全保障体制の構築の一環でもあることを指摘した。また、司会者からの「(BRICS加盟によって)米国やG7諸国から遠ざかることになるのでは」との問いに、「そのような意図は一切ない」と否定した。「米国や西側諸国は重要な貿易相手国であり、G20にも毎年招待され参加している。UAEは世界の貿易ハブであり、世界の平和と繁栄を望んでいる」と付け加えた。
(山村千晴)
(アラブ首長国連邦、インド、中国、ブラジル、ロシア、南アフリカ共和国)
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