自動車組立工場関連企業が相次ぎ進出も、政府の輸入規制施行に遅れ
(ガーナ)
アクラ発
2023年08月08日
ガーナの自動車販売協会(GADA)によると、2022年の新車販売台数は景気減速の影響などにより、前年比21%減の7,546台となった(添付資料表参照)。さらに、2023年の1~6月の販売実績は2,412台と低迷しており、2年連続の減少が予想されている。
2022年の販売台数は、商用車のピックアップが前年比22.4%減、トラックが30.5%減、スポーツ用多目的車(SUV)が29.4%減だった。一方、乗用車(自家用車)の販売は前年比8.9%増で、うち排気量1.2リットル以下の小型車は72%増を記録した。
メーカー別の新車販売台数をみると、トヨタが6年連続1位で1,772台、2位はスズキで1,089台、3位は日産(879台)、4位は三菱自動車(783台)、5位は起亜(492台)、6位はフォルクスワーゲン(VW)(317台)と続き、日本車が上位4位を独占した。ガーナにおける日本車の市場占有率は63%に達している。特に、スズキは2021年の670台から62.5%伸ばした。スズキ車の販売を担うCFAO(豊田通商子会社)が、自動車ローンを提供するスタートアップでナイジェリア発のムーブと提携し、小型車「エスプレッソ」の販売を631台と大きく伸ばしたことが要因となっている(関連ブラック ジャック 必勝)。
ガーナにとって2022年は、信用不安から通貨セディが対ドルに対し最大で54.4%下落したことや、同年1月1日から付加価値税(VAT)の増税(3%→12.5%)が施行されたこと、金融政策金利が14.5%から27%に上昇したこと、公的債務がGDP比で94.3%まで上昇し、2022年12月には事実上のデフォルト(2022年12月21日記事参照)に陥ったことなど、財政、経済ともに厳しい年となり自動車の販売不振につながった。
一方、中古車の輸入が多いガーナでは、市場の約9割を中古車が占めている。政府は2020年4月に中古車および完成車の輸入関税を35%に引き上げる関税法改正案〔The Customs (Amendment) Act, 2020, Act 1014〕を議会で可決し、即日、大統領により承認されているが、いまだ施行されていない。
ガーナには自動車組立工場が相次いで進出しており、2020年にVW、2021年にトヨタ、2022年には日産、プジョー、スズキ、起亜が組み立てを開始している。加えて、2023年度内にホンダおよび現代が新たな自動車組立工場の設立を予定している。一方、いすゞ車の組立工場は開設を決めていたが、現在は一時見合わせとなっている。
(関根広亮)
(ガーナ)
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