李強首相、イエレン米財務長官と会談、両国関係安定の重要性強調

(中国、米国)

北京発

2023年07月11日

中国の李強首相は7月7日、米国のジャネット・イエレン財務長官と北京市で会談を行った(米国側の反応は関連ブラック クイーン ブラック)。

李首相は、世界は安定した中国・米国関係を望んでいるとし、両国が正しく付き合えるか否かに人類の運命がかかっているとした。その上で、習近平国家主席とジョー・バイデン大統領のバリ島会談(注1)での合意が進むべき方向を明確に表しているとし、米国が理性的で実務的な態度を保ち、中国と歩み寄って両国関係を正常な軌道に戻すことを希望するとした。

また、ウィンウィンこそ両国の経済関係の本質とし、協力の強化こそが正しい選択だとした。中国の発展は米国にとってチャンスであり利益となるもので、米国に挑むものでもリスクになるものでもないともした。その上で、両国は協調・協力を強化し、手を携えてグローバルな課題に対応し、共に発展を促進すべきとした。

中国外交部によると、イエレン長官は、米国は「デカップリング」を目指しておらず、中国の現代化のプロセスを妨げるつもりはないとした。また、中国とともにバリ島会談の合意を実行し、意思疎通を強化し、意見の相違が誤解につながることを防ぎ、マクロ経済の安定やグローバルな課題対応で協力を強化し、両国の経済がともに利益を得てウィンウィンとなることを目指すとした。

7月8日には中国・米国の経済・貿易に関する中国側責任者の何立峰副首相がイエレン長官と会談した(注2)。会談は「深く、率直で、実務的」で「建設的」なものだったとした。その上で、中国は国家安全保障の一般化は経済・貿易関係に不利となるとし、米国による対中制裁への懸念を表明した。

その他、中国人民銀行(中央銀行)の潘功勝書記(国家外貨管理局局長)が7日、財政部の劉昆部長も8日にイエレン長官と会談を行った。

10日付の「環球時報」は、会談終了後の双方の政府発表の内容が近かったことについて、良性の相互作用の増加を示していると評した。また、イエレン長官が記者会見で「(バイデン大統領は)両国関係を2つの大国間の対立という枠組みで捉えてはいない。世界は両国が繁栄するのに十分な大きさがあると信じる」と述べた発言を取り上げ、これらを表面的なものとみるべきではなく、イエレン長官を代表とする米ビジネス界の願いだと評した。

(注1)2022年11月16日記事参照。中国は2023年2月に発生した気球撃墜による関係悪化以降、米国に対して同会談の合意に戻るよう主張している。

(注2)国務院のウェブサイトに新華社報道を転載するかたちで発表されている。

(河野円洋)

(中国、米国)

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