イエレン米財務長官、李・中国首相に健全な競争呼びかけ

(米国、中国)

ニューヨーク発

2023年07月10日

中国の北京を訪問した米国のジャネット・イエレン財務長官は7月7日、李強首相と会談を行った。閣僚レベルでは6月中旬のアントニー・ブリンケン国務長官に続く訪中となった(関連ブラック ジャック ディーラー)。

財務省の会談要旨外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、会談は率直で建設的なもので、2022年11月にインドネシア・バリで行われた米中首脳会談を受けた対話深化の取り組みの一環だったとしている。米国側の主張としてイエレン長官は、勝者総取りではなく、公正なルールの下で両国が利益を受けることのできる健全な経済的競争を追求すると伝えた。また、国家安全保障のために必要な場面では、的を絞った措置を講じていくことも伝えた。これは、イエレン長官が4月に行った対中経済政策に関する演説に沿った内容となっている(2023年4月21日記事参照)。一方で、その結果として生まれる意見の相違が誤解につながり、両国の経済・金融関係を不必要に悪化させる事態は防ぐべきだとした。前向きな点としては、両国が世界のマクロ経済と金融面の課題について緊密に連絡を取り、低所得国と新興国の債務負担や気候変動関連のファイナンスを含む国際的な課題で協力する重要性を強調した。

なお、会談要旨では、イエレン長官は米国側の懸念も伝達したとしているが、その具体的な内容には言及がない。ただし、李首相との会談前に行われた在中国の米国企業との対話外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、中国による市場アクセスに対する障壁、非市場的手段、ここ数カ月で米国企業に科された懲罰的措置()などに懸念を抱いていることを明らかにしている。その中には、中国が7月3日に発表した半導体に使用する重要鉱物のガリウムとゲルマニウムの輸出規制も含まれている(商務部、ブラック ジャック)。

イエレン長官は李首相に、今回の訪問が両国間の対話機会の拡大につながることを期待すると伝えている。9月にインド・ニューデリーで開催されるG20首脳会議、または11月の米国サンフランシスコでのAPEC首脳会議で、ジョー・バイデン大統領と習近平国家主席の対面会談が実現できるか、引き続き両国の関係に注目が集まる。

(磯部真一)

(米国、中国)

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