付加価値税率と自動車登録料を引き下げ、景気浮揚策の時限措置

(ベトナム)

ハノイ発

2023年07月10日

ベトナム政府は、2023年7月1日から12月31日まで、付加価値税(VAT)の税率を現行の10%から8%に引き下げる。経済成長が減速する中、財政政策により景気を下支えする狙いだ。

今回のVAT減税は、6月30日付の政令44号(44/2023/ND-CP)に基づく措置で、2022年2月1日から12月31日まで実施されたVAT減税措置(関連ブラック ジャック トランプ)を再び適用させるかたちだ。減税対象は、金融や不動産、金属、石油など一部品目を除いた標準税率10%が適用されている商品およびサービスになる。

今回の施策により、VATの税収は6カ月で約24兆ドン(約1,464億円、1ドン=約0.0061円)削減される見込みだ。減税率や適用対象の拡大、期間延長を求める意見もあるが、政府は、今回の減税効果、歳入や経済状況などを踏まえて、次の手を検討することとしている。

2022年に11カ月間適用されたVAT減税は、企業や消費者の税負担を44兆5,000億ドン相当軽減した。その結果、新型コロナ禍からの反動需要も相まって、2022年の小売・サービス売上高は前年に比べて19.8%増加。最終的に、政府のVATの税収も前年同期比10%の増加になったという(「VNエコノミー」紙2023年6月25日)。2023年上半期(1~6月)の小売・サービス売上高は前年同期比10.9%増だったが、6月単月は前年同月比6.5%増で伸び率が縮小しており、VAT減税による消費拡大が期待される。

なお、ベトナム商工連盟(VCCI)は、2022年のVAT減税の対象外製品リストにHSコード不記載のものがあり、輸入品の該非確認に支障があったと指摘の上、関税法に基づく品目リストの使用などを政府に要請していた(「VNエコノミー」紙2023年6月26日)。今回の政令44号では、一部改善がみられたが、引き続き未解決の品目も多い。

国産車の自動車登録料半減も実施

ベトナム政府は、VAT減税と同期間で、国産自動車登録料も半額にする。新型コロナ禍の2020年以降3度目の措置(関連ブラック ジャック ランキング)となる。自動車にはVAT減税が適用されないが、ベトナム国内で組み立て生産された自動車(トレーラーを含む)に限り、登録料が50%減額される。

2023年の自動車販売は、好調だった2022年から一転、経済減速や金利上昇の影響で停滞している。ベトナム自動車工業会(VAMA)によると、1~5月の新車販売台数は11万3,527台で前年同期比36%減だった。うち、国産車は6万2,096台で43%減、輸入車は5万1,431台で23%減となり、特に国産車の販売が落ち込んでいる。政府による登録料の半減措置の検討は以前から報じられており、値下がりを見越した国産車の買い控えが起きているとの見方もある。

(萩原遼太朗)

(ベトナム)

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