政府、フランス電力(EDF)の国有化を完了

(フランス)

パリ発

2023年06月16日

フランス政府は6月8日、フランス電力(EDF)の株式および議決権の100%取得を完了したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。政府は2022年7月、フランスのエネルギー安全保障の強化、原発建設の再開および再生可能エネルギーの拡大加速を目的に、EDFの国有化に向けて公開株式買い付け(TOB)を実施する方針を発表していた()。

政府が提示した買付価格が低すぎるとして、EDFの少数株主はTOBの無効を求める訴えを起こしていた。しかし、パリ控訴院が2023年5月2日にこの訴えを棄却したことから、政府は5月4~17日にTOBを実施した後、6月8日に、少数株主を強制的に締め出す、スクイーズアウトの手法を用いて株式の100%取得を完了した。

ブリュノ・ル・メール経済・財務・産業およびデジタル主権相は同日、「国はEDFの単独株主となった。国営電力会社の完全経営権の取得は政府の優先課題だった。(国有化は)電力需要が拡大する中、既存の原発施設の発電量増大や、2050年までに次世代EPR(欧州加圧水型炉)の6基建設(2022年2月17日記事参照)など、EDFが重大なプロジェクトの達成を加速させるために不可欠だった」と述べ、完全国有化の完了を歓迎する意を表明した。

EDFにとって、原子力発電量の拡大が喫緊の課題となる。ル・メール大臣は5月23日、ラジオ局RTLのインタビュー番組で、完全国有化により、国はEDFに明確な目標値を提示できるようになるとし、電力需要の増大に対応するため原子力発電量を早期に年間350テラワット時(TWh)に引き上げることが必要だとの見解を示した(注)。

なお、EDFの5月30日付発表によれば、フランス北西部フラマンビル原発に建設中のEPRは、2022年12月に発生した応力除去熱処理の追加作業を終えて、2023年6月から9月にかけて稼働認可に係るパブリックコンサルテーションが行われる。稼働に向けた燃料装填(そうてん)は2024年第1四半期を予定している。

(注)EDFの2022年の原子力発電量は279TWhだった。

(山崎あき)

(フランス)

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