オーストリアのエネルギー大手、2027年から黒海でガスを生産へ

(オーストリア、ルーマニア)

ウィーン発

2023年06月29日

オーストリアのエネルギー大手OMVのルーマニア子会社OMVペトロムとルーマニア国営石油会社ロムガス(Romgaz)は6月21日、黒海での天然ガス生産を目的とした、共同出資による最大40億ユーロの最終投資決定を発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

OMVペトロムは、欧州最大級の海底ガス田プロジェクトである、ルーマニア沖黒海のネプチューン深海(Neptun Deep)のプロジェクト運営者だ。OMVペトロムは、第19ネプチューン深海ブロック(XIX Neptun Deep Block)の権益の50%を所有しており、残り50%の権益は、ロムガスが所有している(関連ブラック ジャック 無料)。

ガス採掘開始は2027年、推定可採埋蔵量は1,000億立方メートル(約7億バレル石油換算)との見込みだ。

報道によると、もともと2012年に公表されたこの計画に今回ようやく進展があった背景には、欧州がロシアへの天然ガス依存からの脱却を急いでいることがある。こうした状況から、ルーマニアにおいて海洋法の改正や天然ガス輸出禁止令の撤廃、ガス販売税の軽減など、これまで障害となっていた規制などの改善が進んだ(「ディープレッセ」紙6月22日)。なお、同プロジェクトは、ルーマニア国家鉱物資源庁(NAMR)の認可が必要となっている(「クーリエ」紙6月22日)。

採掘されたガスがオーストリアにも供給されるかどうかは、まだ発表されていない。OMVはオーストリア国営放送の取材に対し、「ネプチューン・ガス・プロジェクトはEU域内で生産されるガスであり、EU、特に南東欧地域の安定供給に寄与するものだ」と話した(「マインベツィルク」紙6月21日)。

また、OMVのアルフレッド・シュテルン最高経営責任者(CEO)は「ネプチューン深海により、ルーマニアはEU最大の天然ガス生産国となり、同地域に信頼性と安全性の高いエネルギー源を提供することになる。同時に、黒海地域および南東ヨーロッパにおける当グループの地位も強化されるだろう」と述べた。

OMVペトロムは、このプロジェクトにより2030年までに同社の営業利益が50%増加すると見込んでいる(「ドイツ公共放送ARD」6月21日)。

(金子マヌエル)

(オーストリア、ルーマニア)

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