中国、農村部における新エネ車普及策を発表
(中国)
上海発
2023年05月23日
中国の国家発展改革委員会、国家エネルギー局は5月17日、「充電インフラ構築の加速および農村・地方の新エネルギー車普及活性化支援に関する実施意見」(発改総合〔2023〕545号)を発表した。新エネルギー車(以下、新エネ車)の普及が進んでいない農村部において、新エネ車購入時の制限解消や使用環境の最適化を目指す。
実施意見では、農村部における充電スタンドなどのインフラ整備、新エネ車の購入・利用支援、広報・サービス・管理の強化の実施を求めた。
農村部での公共施設などにおける集中型急速充電ステーションの建設を進めるとともに、住宅エリアで充電施設の建設を促進するとした。地方政府に対しては、各設備建設の支援策を導入することを推奨した。新エネ自動車メーカーに対しては、農村部の消費者ニーズに合わせ、ミニバンや小型トラックなどの製品を開発することを推奨した。農村部の公的機関には、新エネ車の導入をより一層加速するよう促した。
また、消費者への購入支援として地方政府に、消費券の配布や、下取り、充電クーポンの配布を求めた。金融機関には、自動車購入時のローンやリスク管理などを合理的に決定するように指示した。
さらに、新エネ車利用時の利便性を高めるため、新エネ自動車メーカーや電池メーカーに3年以内の無料バッテリー検査の提供やアフターサービスを充実させること、充電施設の管理者に対して安全性を担保することなどを推奨した。
中国自動車工業会(CAAM)が5月11日に公表した4月の自動車販売台数のうち、新エネ車は前年同月比2.1倍の63万6,000台となり、全体の販売台数の29.5%を占めた。中国におけるEV車市場は拡大していることがうかがえる(2023年5月22日記事参照)。EV業界の独立系シンクタンク、中国電気自動車百人会が発表したレポート「中国農村地区EVモビリティ研究」は、2030年には農村部の自動車保有台数が人口1,000人当たり160台、総保有台数が7,000万台を超える見通しだと発表した。将来的に農村部の電動自動車ニーズを満たせば、5,000億元(約10兆円、1元=約20円)規模の自動車市場を動かすことになる、と現地メディアは報じている(「新華社」5月19日)。
(神野可奈子)
(中国)
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