米アップル、2022年の在欧州サプライヤーとの取引額は200億ユーロ超
(ドイツ、米国)
ミュンヘン発
2023年05月31日
米国のアップルは5月16日、在欧州サプライヤーとの取引額が2022年に200億ユーロ超となったことなどを公表した。アップルによると、同社は4,000社を超える在欧州サプライヤーと取引し、過去5年間の取引額は850億ユーロに上る。iOSアプリビジネスも含めると、欧州で260万人超の雇用を支えていることになるという。
取引する在欧州サプライヤーの例として、アップルは今回、ドイツ南西部バーデン・ビュルテンベルク州に本社があるトルンプを挙げた。トルンプのハイテク部品はさまざまなアップル製品に活用されており、例えば、iPhoneの近接センサー機能に必要な小型レーザーがある。近接センサーは、iPhoneにモノが接近すると、例えば、通話時に利用者の耳がアイフォーンに接近した場合などに、自動的にディスプレーを切り、電力消費を抑えるとともに、通話中の誤作動などを防ぐ機能。トルンプはこれまでに10億を超える小型レーザーを生産しアップルに納品してきた。
トルンプは工作機械・レーザー加工機のメーカーで、2023年で創業100周年を迎える。2021年度(2021年7月~2022年6月)の売上高は42億2,280万ユーロで、従業員は1万6,554人。国内外に約70カ所の拠点を有し、日本にも拠点がある。同社のマティアス・カミュラー・チーフデジタルオフィサー(CDO)が在シュトゥットガルト名誉領事を務めるなど、日本との関係も深い。
アップルは、2030年までに自社のサプライチェーンと自社製品のライフサイクル全体での気候中立を達成することを目標に掲げ、サプライヤーと温室効果ガス(GHG)排出量削減の取り組みも進めている。在欧州サプライヤーの多くは、アップルの「サプライヤー・クリーン・エナジー・プログラム」に参加、アップルに納品する部品などの気候中立目標の達成を目指しているという。今回の発表では、GHG排出量削減でアップルと協力するドイツ企業として、半導体のインフィニオン・テクノロジーズ、自動車部品・半導体のボッシュ、蓄電池のファルタなどを挙げた。
アップルは2023年3月、半導体デザインセンターを拡充するため、ドイツ南部バイエルン州ミュンヘンの拠点に、今後6年間で10億ユーロを追加投資すると発表するなど(関連ブラック ジャック web)、欧州への投資も積極的に進めている。
(高塚一)
(ドイツ、米国)
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