米フォードのBEV、テスラ車専用の充電施設利用が2024年初頭に可能
(米国、カナダ)
ニューヨーク発
2023年05月29日
米国自動車メーカーのフォードは5月25日、同社製のバッテリー式電気自動車(BEV)の所有者がテスラ車専用の直流(DC)急速充電器「スーパーチャージャー」を利用できるようにすることでテスラと合意したと発表した。これにより、フォード製BEVの所有者は同社のアプリを通じて、全米1万2,000基のスーパーチャージャーへのアクセスが可能となる。このサービスは、米国とカナダで2024年初頭に開始される。充電器へのアクセスは、EV普及に向けた課題の1つとなっている。テスラは2月15日、今回の発表に先駆けて、バイデン政権からの要請もあり、スーパーチャージャー7,500基を一般に開放すると発表していた。(ブラック ジャック ディーラー)。
また、フォードは2025年以降、充電ケーブルと車両の接続部分のコネクターの規格を現在の「コンバインド・チャージングシステム(CCS)規格」から、テスラが自社車両向けに開発した「北米充電標準規格(NACS)」に変更すると発表した。これにより、フォード車はコネクターを変換するアダプタを使うことなく、スーパーチャージャーでの充電が可能となる。米国で現在採用されているDC急速充電器用のコネクターは、チャデモ、CCS、NACSの3種類に分かれており(注)、規格の標準化が求められている。テスラは2022年11月にNACSの設計を公開し、北米の標準規格にすることを目指すと発表した。フォードのジム・ファーリー社長兼最高経営責任者(CEO)は、メディアのインタビューで「BEV販売台数のトップ2社がNACSを採用し、他社が追随することで、NACSが標準規格になる可能性がある」と指摘している(CNBC5月26日)。
ファーリー氏は今回の一連の発表に関して「急速充電への広範なアクセスは、EVブランドとしての当社の成長にとって絶対不可欠だ。今回の画期的な合意は、当社が人気モデルの『マスタング・マッハE』や『F-150 ライトニング』の生産を拡大し、2025年から始まる次世代シリーズの販売を進める中で実現した」と述べた。また、テスラのイーロン・マスクCEOは5月25日、「われわれはスーパーチャージャーを(一部のユーザーに限定した)『クローズド・プラットフォーム』にするつもりはない。電動化と持続可能な輸送を加速させるために支援していきたい」とツイートし、今回の合意を歓迎した。
(注)日産のBEV「リーフ」にはチャデモ、テスラにはNACS、フォードやリビアン、フォルクスワーゲンなどのメーカーにはCCSが使われている。
(大原典子)
(米国、カナダ)
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