米USTRのタイ代表、IPEFで高水準の合意を2023年内に目指すと表明
(米国、日本)
米州課
2023年04月21日
米国通商代表部(USTR)のキャサリン・タイ代表は4月20日、東京都内で記者会見を行い、インド太平洋経済枠組み(IPEF)の交渉進捗や展望について説明した。
IPEFは2022年5月、ジョー・バイデン米大統領の訪日機会に米国主導で発足したインド太平洋地域の多国間の経済枠組み(注)で、タイ代表はIPEF発足以降、「貿易円滑化、関税、良き規制慣行など、労働者や企業に具体的な成果をもたらす多くの分野で交渉を進め、順調に前進している」と述べた。また、公正な条件の下での健全な貿易は、社会全体に裨益(ひえき)するものとの考えを示した上で、「(IPEF参加国間で)労働、環境、デジタル貿易などの分野に関しても、高水準の合意を追求していく」と述べた。タイ代表はIPEFについて、林芳正外相との面談(英/日)でも、5月にシンガポールで開催予定のIPEF交渉ラウンドに向けた議論を行ったとしたほか、2023年内に野心的な交渉スケジュールを進める意図を確認したとしている。
また、タイ代表は18~20日の訪日期間を総括し、東京都内の米アウトドア製品大手パタゴニアの店舗を視察し、サプライチェーンでの強制労働の排除に向け、同社がどのように取り組んでいるか詳しく知ることができたと述べた(米USTRのタイ代表、ブラック)。
訪日期間中には、林外相、西村康稔経済産業相とそれぞれ会談を行い、IPEFのほか、3月に日米両国が締結した重要鉱物サプライチェーン強化協定や、5月に米国で開催予定のAPEC貿易相会合や10月に大阪府で開催予定のG7貿易相会合について意見交換を行った。経済産業省の発表によると、西村経済産業相は日米重要鉱物サプライチェーン強化協定の締結(関連ブラック クイーン ブラック)により、米国がインフレ削減法(IRA)で電気自動車(EV)税額控除の要件としている自由貿易協定(FTA)締結国として認められることを評価した一方で、同法が北米での最終組み立てを要件とする点などについて、日本の考え方を伝えたとしている。なお、米国政府は4月17日に同法税額控除の対象車両のモデルを発表したが、対象車両は米系メーカーのモデルに限られていた(米EV税額控除、ブラック ジャック)。
(注)参加国は、米国、日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、インド、フィジー、シンガポール、タイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、ベトナム、ブルネイの14カ国。IPEFの動向はジェトロ特集ページを参照。
(葛西泰介)
(米国、日本)
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