日米政府、重要鉱物サプライチェーン強化の協定締結、インフレ削減法のEV税額控除要件に影響か
(米国、日本)
ニューヨーク発
2023年03月29日
日米両政府は3月28日、「重要鉱物のサプライチェーンの強化に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定」(日米重要鉱物サプライチェーン強化協定)に署名した〔経済産業省発表/米国通商代表部(USTR)発表〕。両国は電気自動車(EV)の普及に不可欠なリチウムなどの重要鉱物の確保に向けて、協力体制を強化する。協定締結により、米国政府がインフレ削減法(IRA)に盛り込まれたEV税額控除の要件としている自由貿易協定(FTA)締結国として認められる可能性が高まっている。
今回の協定は、2019年に締結した日米貿易協定(2019年12月16日記事参照)に基づくもので、具体的には、重要鉱物に対する輸出関税の課税を相互に控えることや、協定外の国の関与について双方で広く協議すること、採掘や処理における労働者の権利に関するブラック クイーン ブラック ジャックを共有して適正に法を執行することなどを盛り込んでいる。同協定は即日発効し、その後2年ごとに見直しが行われる。USTRのキャサリン・タイ代表は「日本はわれわれにとって最も価値のある貿易パートナーの1つで、今回の合意により、既存の2国間関係をさらに深めることができる。米国が同盟国やパートナー国と協力し、IRAなどを通じて重要鉱物のサプライチェーンの強化を続ける中で、これは歓迎すべき瞬間だ」と述べた。米国政府はEUとも同様の交渉を続けているとみられる(通商専門誌「インサイドUSトレード」3月27日)。
日本がFTA締結国に含まれる見通しも
2022年8月に発効したIRAでは、EV購入者が税額控除を受けるためには、対象となる車両のバッテリーに使用される重要鉱物の抽出または処理が一定の割合で米国あるいは米国とFTAを締結する国で行われていることが条件となっている(特集:進む北米のEV化、各地域の市場と政策を探る国内生産実現と早期普及、双方をにらんで政策展開(カジノ)。IRAを管轄する財務省は、最終的にどのFTAが税額控除要件の対象になるかを示していないが、12月29日に公表した「予備的見解」(ホワイトペーパー)の中で「重要鉱物の要件を満たすための追加の協定や、新たな交渉による合意に関しても対象に含めることを検討する」と明記している(米財務省と内国歳入庁、EV税額控除に関する追加ブラック)。こうした中、今回の協定が税額控除要件の対象となれば、日本の生産者にとって追い風となる。財務省は3月末までに、対象となるFTAに関するブラック クイーン ブラック ジャックを含め、バッテリーの調達価格要件に関する細則を発表する予定だ。
(大原典子)
(米国、日本)
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