ZFとフォルヴィアがそれぞれメキシコ北部に工場新設を発表
(メキシコ、ドイツ、フランス)
メキシコ発
2023年04月07日
メキシコ北部への新規投資が続いている。ドイツ大手自動車部品メーカーのZFグループは3月30日付でプレスリリースを出し、メキシコ北部チワワ州シウダフアレスに電気自動車(EV)部品の工場を新設することを発表した。また、フランス大手自動車部品メーカーのフォルヴィア(注)も同日、同社のウェブサイトで北東部ヌエボレオン州アポダカ市に新工場を設立すると発表した。
ZFグループは、北米におけるEV市場の急成長に対応するため、チワワ州に2万2,000平方メートルにおよぶ新工場を建設し、1日1,000台以上の次世代インバータを生産する。プロジェクト全体の総投資額は1億9,400万ドルとなり、新たに500人の雇用を生み出す。
フォルヴィアが1億4,700万ドルを投じるヌエボレオン州の新工場は、建屋面積が3万3,500平方メートルを超え、約1,500人の雇用を生み出す。乗用車向けのシート部品、ダッシュボード、センターコンソールを生産する予定だ。
地元紙や各社発表によると、双方とも地元の大学など教育機関と協定を結び、自社内部で職業体験ができる機会を提供し、卒業後に一部の実習生をそのまま採用するなど、人材育成に貢献するとともに人材確保にも力を入れる(「クラスター・インドゥストリアル」紙3月31日)。
工業団地の飽和と地価の高騰も継続、国境から離れた都市でも開発進む
生産拠点を消費地である米国の近隣国に移転するニアショアリングの影響で、特にメキシコ北部の工業用不動産レンタル価格高騰と空きスペース不足が深刻だ(関連カード ゲーム ブラック)。不動産サービス会社のニューマークのレポートによると、2023年第1四半期の工業用不動産の空き状況はヌエボレオン州モンテレイ市で1.6%、コアウイラ州サルティージョ市で1.4%、タマウリパス州レイノサ市で0.8%、チワワ州シウダフアレス市で0.4%と、国境都市での高い占有率が続く。
この飽和状態を受け、ドゥランゴ州ゴメス・パラシオ市やコアウイラ州南西部トレオン市を中心とする都市圏(ラグーナ地域)や北部太平洋岸シナロア州の複数都市など北部国境から離れた地域でも、新たな工業団地の開発が進む。ニアショアリングの影響はメキシコ北部にとどまらず、他の地域にも広がりをみせている。
(注)ドイツの自動車部品メーカーのヘラー(HELLA)がフランスの自動車部品メーカーのフォルシア(Faurecia)による株式支配を受け、2022年1月に統合された際に発表されたグループ名。
(渡邊千尋)
(メキシコ、ドイツ、フランス)
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