メルセデス、スペイン電力大手から再生可能エネルギー調達

(ドイツ、スペイン)

ミュンヘン発

2023年04月03日

ドイツ自動車大手メルセデス・ベンツグループ傘下のメルセデス・ベンツは3月30日、2022年の初開催()に続いてESGカンファレンスを開催外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、スペインの電力大手イベルドローラ(Iberdrola)と「コーポレートPPA(Corporate Power Purchase Agreement)」を締結したことを明らかにした。

同契約を通じ、メルセデス・ベンツは2027年から、イベルドローラのバルト海沖の洋上風力ファーム「Windanker外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」〔発電容量300メガワット(MW)〕から、年間140MW以上の電力を調達する。これにより、メルセデス・ベンツはドイツ国内で必要な電力量の約3割を確保できることになる。

「コーポレートPPA」は、再生可能エネルギー由来の電力供給のため、エネルギー会社などが民間企業と直接、長期間の電力購入契約を結ぶ契約だ。気候中立を目指す企業にとって、再エネ由来の電力の確保が必要で、企業側の需要も増えている(関連ブラック ジャック ブラック)。

メルセデス・ベンツは2019年5月発表の計画「アンビション2039(Ambition2039)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」で、2039年までにカーボンニュートラルを達成する目標を掲げている。同社によると、2022年までに2018年比でスコープ1、スコープ2(注)の二酸化炭素(CO2)排出量を5割削減した。2030年までに2018年比で8割削減を目指す。現状では、同社の生産部門の消費エネルギーの45%が再エネ由来の電気で賄われている。この割合を2030年までに7割まで高めることを目標としており、そのためには、再エネのさらなる確保が必要になる。今回のイベルドローラとの「コーポレートPPA」締結はそのための具体策の1つだ。

同社は外部からの再エネ調達とともに、自社でも再エネ発電施設を建設する。具体的には、太陽光発電では2025年までに最大140メガワットピーク(MWp)の発電容量を有する見込み。陸上風力発電では、2025年までに、北ドイツのオランダ国境に近いパーペンブルクのテストコースに、10を超える風力タービンを設置した発電容量100MW超の風力発電ファームを建設予定だ。

(注)温室効果ガス(GHG)排出量の算定、報告の基準の1つ。スコープ1では、事業者自らによるGHGの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)を対象にする。スコープ2は、他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出が対象。

(高塚一)

(ドイツ、スペイン)

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