エネルギー会社EnBW、ドイツ最大級の洋上風力施設の建設を最終決定

(ドイツ)

ミュンヘン発

2023年03月27日

ドイツ南西部バーデン・ビュルテンベルク州に本社があるエネルギー会社EnBWは3月23日、ドイツ最大級の洋上風力発電ファームの建設を最終決定したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。EnBWは、同施設の最終建設判断を2023年第1四半期(1~3月)中に行うとしていた。

洋上風力施設名は「He Dreiht」で、北海にあるドイツ領の島であるヘルゴラント島から西に約110キロに位置する。発電容量は960メガワット(MW)で、2025年末までに稼働の予定。デンマークのべスタス製のタービン64基(発電量15MW級)を設置する。洋上に設置するコンバータと洋上風力発電施設から陸上までの電力ケーブルは、オランダ・ドイツの送電大手のテネット(TenneT)が敷設する。「He Dreiht」の投資総額は約24億ユーロ。2022年12月には建設許可を連邦海運水路庁(BSH)から取得済みだ。EnBWが50.1%を出資し、保険大手アリアンツなどのコンソーシアムが49.9%出資する。また、欧州投資銀行(EIB)から、本施設に関して、6億ユーロの長期融資を受ける。

EnBWは、「He Dreiht」で発電予定の再生可能エネルギー由来の電力について、民間企業と相対での長期販売契約を締結してきた。「コーポレートPPA(Corporate Power Purchase Agreement)」と呼ばれ、エネルギー会社などが民間企業と直接、長期間の電力購入契約を結ぶ契約だ。気候中立を目指す企業にとって、再生可能エネルギー由来の電力の確保が必要で、企業側の需要も増えている。

EnBWが「He Dreiht」からの電力に関して、既に締結したコーポレートPPAには、フランクフルト空港の運営会社フラポート(Fraport)とのものがある。2026年下半期から15年間、「He Dreiht」から年間85MWを供給する契約だ(2021年12月21日記事参照)。また、スペシャルティーケミカルのエボニックには2026年から15年間、年間150MWを供給、ドイツ鉄鋼メーカーのザルツギッター(Salzgitter)子会社には15年間、年間50MWを供給する(2023年2月24日記事参照)。EnBWは3月21日、ボッシュとも2026年から15年間、年間50MWを「He Dreiht」から供給するPPAを締結したことを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしている。

(高塚一)

(ドイツ)

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