米3月の雇用情勢は堅調も労働需要は鈍化傾向、今後はSVB破綻の影響が焦点
(米国)
ニューヨーク発
2023年04月12日
米国の3月の雇用情勢(米3月雇用者数23.6万人増、失業率3.5%に低下、時給の伸びはブラック)は堅調さを示すも、労働供給が徐々に高まって労働参加率(注)が上昇しているのに対し、労働需要は弱まって雇用者数の増加ペースは徐々に鈍化してきており、労働需給の逼迫が緩和しつつある可能性がある。
4月4日に労働省が発表した2月の雇用動態調査では、非農業部門の求人件数は993万1,000件と2021年5月以来の水準にまで低下した。2月の失業者数593万6,000人と併せてみると、失業者1人当たり1.67件の求人がある計算になるが、これは2021年11月以来の水準にまで低下している。今後は、むしろ雇用の鈍化による景気後退懸念、特にシリコンバレー銀行(SVB)などの経営破綻(関連実写 版 ブラック ジャック)の影響が、金融セクターのみならず、雇用市場全体に波及し得るかが焦点だ。もともと今回の一連の経営破綻の前から、米国の銀行の貸出態度は厳格化していた(関連ブラック ジャック トランプ)ことに加え、今回一連の経営破綻で政権や当局側が中堅銀行への規制強化も検討する中(米ホワイトハウス、SVBなどの破綻受け中堅銀行への規制強化案発表、カジノ)、今後、財務改善を急ぐ銀行が貸出態度をさらに厳格化させれば、企業の資金繰りが悪化し、雇用鈍化または削減が進む可能性がある。特にSVBはスタートアップを中心に取引を行っていたことから、足元で進んでいる同業界の雇用削減()が一層加速することも懸念される。
一方で、3月の雇用統計では、平均時給は前年同月比では伸びが鈍化したものの(3月:4.2%増、2月:4.6%増)、前月比では伸びが加速しており(3月:0.3%増、2月:0.2%増)、明確な鈍化傾向を見るには至っていない。こうした人件費高騰などの影響で高インフレが継続する中、現状では連邦準備制度理事会(FRB)は少なくともあと1回の政策金利の利上げを行う見込みだ(2023年3月23日記事参照)。SVBなどの破綻により、景気後退懸念がさらに高まる中、米国経済が軟着陸することができるか、当局は難しい政策判断を求められそうだ。
(注)労働参加率は、生産年齢人口(16歳以上の人口)に占める労働力人口(就業者+失業者)の割合。
(宮野慶太)
(米国)
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