米エネルギー省、洋上風力発電開発目標に関する戦略を公表
(米国)
ニューヨーク発
2023年03月31日
米国エネルギー省は3月29日、洋上風力発電開発目標に関する戦略を公表した。バイデン政権は現在、2030年までに洋上風力発電容量を30ギガワット(GW)まで拡大する目標と()、浮体式洋上風力発電を2035年までに15GWまで拡大するとの目標(2022年9月21日記事参照)を掲げており、この達成に向けた具体的なロードマップ戦略となる。
戦略では、洋上風力発電を30GWまで拡大するという前述の目標の達成によって、1,000万世帯に十分な電力が供給されることに加え、7万7,000人の雇用や年間120億ドルの直接投資が促されるとし、その意義を強調した。その上で、現段階ですでに40GWの洋上風力発電が開発段階にあり、目標達成の十分な可能性を示唆した。戦略では「現在(Now)」「前進(Forward)」「結合(Connect)」「変革(Transform)」の4つのキーワードを柱に掲げ今後開発に取り組んでいくとしており、例えば着床式洋上風力発電については、1メガワット時(MWh)当たりの発電コストを現在の73ドルから51ドルに引き下げることを目標とし、そのために国内サプライチェーンの開発を支援していくとした。また、浮体式洋上風力発電については、2035年までに同コストを70%以上削減して45ドル/MWhにするという従来からの目標をあらためて強調した。さらに、2050年までに洋上風力発電容量を110GWにまで拡大するというより長期的な目標も掲げた。現段階ではこれらに関する具体的な資金支援は明らかではないが、エネルギー省の関係当局がこれまで融資の保証やサプライチェーン開発などをこれまで行ってきたことを強調した上で、今後は経済的、公正そして環境的に持続的な方法で洋上風力発電の開発を支援していくとしている。
2022年は初めて再エネ発電量が石炭発電量を上回り(2023年3月29日記事参照)、2050年には風力発電と太陽光発電が発電量全体に占めるシェアが合計41~59%まで伸びると試算されている()。政権が力を入れる洋上風力発電を中心に今後も米国での再エネ発電開発は加速していきそうだ。
(宮野慶太)
(米国)
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