電動車の需要拡大が追い風、関連ドイツ企業で受注増に
(ドイツ)
ミュンヘン発
2023年03月03日
ドイツ企業が電動車の需要拡大を受けて受注額を伸ばしている。自動車部品メーカーのビテスコ・テクノロジーズ(Vitesco Technologies)は2月23日、2022年業績(速報値)を発表、受注総額約140億ユーロのうち、電動車向け部品が104億ユーロを占めた。前年(51億ユーロ)から約2倍の伸び。受注総額に占めるシェアも2021年の約45%から約75%に拡大した。なお、同社の2022年の売上高は前年比8.6%増の90億7,000万ユーロだった。
ビテスコ・テクノロジーズは2019年に自動車部品メーカーのコンチネンタルのパワートレイン部門が分社化した組織。同社は電動車向けでは、コントローラー、インバーター、蓄電池マネジメントシステム、コンバーター、熱マネジメント関連などの部品を手掛けている。従業員は3万7,488人(2021年末)で、日本では横浜市に拠点を有する。
ドイツの機械・設備大手デュルも2月23日、2022年の暫定決算を発表、電動車生産技術向けビジネスの受注額が前年比4割増を超える11億ユーロ以上となった。2021年の約20%の伸び(2022年3月1日記事参照)を大きく上回った。新型コロナウイルス感染拡大前の2019年と比べると、2.8倍以上に拡大している。同社の電動車生産技術向けビジネスは、電動車の塗装工程や最終組み立て工程の機械設備、蓄電池製造関連の機械設備が中心。特に、蓄電池の電極製造装置の受注は初めて1億ユーロを超えた。同社の売上高は前年比22.0%増の43億1,410万ユーロだった。
デュルは2022年9月、需要拡大が見込まれる欧州でのリチウムイオン電池製造工場の受注を獲得すべく、ドイツの設備機械関連企業2社と、リチウムイオン電池製造技術に関する分野で協業すると発表している(2022年9月30日記事参照)。デュルは蓄電池の電極製造装置の売り上げが2030年には、現状の3.8~6.3倍に上る3億~5億ユーロに拡大すると見込んでいる。
デュルにとって、自動車メーカーの脱炭素化の動きも追い風だという。その理由は、自動車工場内で使用するエネルギーの43%が塗装工程で使われる一方、塗装工程の機械設備の約6割が導入後15年から20年経っているとされ、設備更新によるエネルギー削減効果が高いからだ。デュルは、ドイツ南西部バーデン・ビュルテンベルク州シュツットガルトから北に約25キロのビーティヒハイム・ビッシンゲンが本社。2022年末の従業員数は前年比4.0%増の1万8,514人。千葉県船橋市に日本拠点がある。
(高塚一)
(ドイツ)
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