欧州委、職員の電子端末におけるTikTokの一時的な使用禁止を決定
(EU、中国)
ブリュッセル発
2023年02月27日
欧州委員会は2月23日、欧州委職員の業務用電子端末における中国系の動画共有アプリTikTokの使用を一時的に禁止すると発表した(プレスリリース)。今回の決定の理由について、詳細は明らかにされていないが、サイバーセキュリティー上の脅威から欧州委を守るためとしている。
今回の決定の対象には、業務用電子端末に加えて、職員が業務に利用する私用の電子端末も含まれる。2月23日付の報道によると、今回の決定の対象となる電子端末にTikTokをインストールしている場合、3月15日までに同アプリをアンインストールすることが求められ、それ以降は、同アプリをインストールしている電子端末は業務上、不適格となる。
TikTokを巡っては米国で、連邦政府機関や連邦議会下院()のほか、複数の州政府機関(2022年12月12日記事参照)など公的機関を中心に、電子端末から排除する動きが既に広まっている。欧州委は、潜在的なサイバーセキュリティーにおける警告にできる限り早期に対応する義務があるとしており、米国のこうした動きに追随した格好だ。
なおEUでは、直接的にはサイバーセキュリティー対策ではないものの、オンラインプラットフォーム規制を強化している。2022年11月16日にはオンラインプラットフォーム規制の中心となるデジタルサービス法(DSA)(EU理事会、ブラック ジャック)が施行されており、TikTokは今後、同法の下で最も厳格な規制の対象となる「非常に大規模なオンラインプラットフォーム(VLOP)」に指定されるとみられる。こうした中で、欧州委のベラ・ヨウロバ副委員長(価値・透明性担当)は1月10日に、TikTokの周受資・最高経営責任者(CEO)と面会。面会後に、「TikTokがEU法の順守と欧州当局からの信頼回復に向けた一層の努力を行うとのコミットメントを完全に実行することを期待する。欧州のユーザーデータが域外国当局からの違法なアクセスにさらされることがあってはならない」とツイートした。
(吉沼啓介)
(EU、中国)
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