石油・ガス世界大手「OGCI」、バイオ燃料が国際海運の脱炭素化に貢献可能との調査結果発表
(米国)
ヒューストン発
2023年02月03日
世界的な石油・ガス開発企業12社で構成する「石油・ガス気候変動イニシアチブ」(OGCI、注1)は2月2日、バイオ燃料が国際海運業界の脱炭素化を支援する可能性があるとの調査結果を発表した。
国際海運業界では、2050年までに温室効果ガス(GHG)排出量を2008年比で半減させるという目標を達成するために、さまざまなソリューションや技術が研究されている。OGCIは、燃料部門に関する会員の知見を生かし、GHG削減が困難な国際海運の脱炭素化を支援する幅広い取り組みの一環として、本研究を実施したとしている。報告書では、バイオ燃料を利用することで、国際海運業界の脱炭素化を支援できる可能性があるものの、同業界用のバイオ燃料は大量に存在しないため、バイオ燃料使用に対する法的支援やインフラ整備の重要性を指摘している。また、OGCIは海運業界と協力し、海洋での二酸化炭素(CO2)回収に関する実現可能性調査も実施しているという。
OGCIの輸送ワークストリーム担当責任者であるミカエル・トラバー氏は「国際海運におけるバイオ燃料の使用に関する本調査は、野心的な脱炭素化目標を掲げている業界にとって、重要な知見となる」「このような調査や実証プロジェクトを通じて、OGCIは、エネルギー部門から海運部門に知見をもたらすことで、GHG削減が困難な海運部門の脱炭素化を支援している」と述べた。
OGCIは、国際海運の脱炭素化の取り組みを進めており、2022年10月に、世界的な海運・エネルギー関係の19のパートナーで構成する「海上脱炭素化グローバルセンター」(GCMD、注2)、スウェーデンのタンカー船社ステナバルクと、大規模な船上CO2回収を実証する2年間のプロジェクトに着手したと発表している(石油・ガス世界大手「OGCI」、海運団体と大規模な船上CO2回収実証プロブラック)。
(注1)Oil and Gas Climate Initiative。パリ協定を明示的にサポートし、気候変動への業界対応を加速させることを目的として、2016年に設立され、10億ドル以上のファンドを有している。構成メンバーは、アラムコ、シェブロン、エクイノール、エクソンモービル、ペトロブラス、シェル、トタルエナジーズなど12社。
(注2)Global Centre for Maritime Decarbonisation。海事産業のGHG排出量削減を目的として、2021年に設立された。構成メンバーは、シンガポール海事港湾庁、シェブロン、BP、オーシャン・ネットワーク・エクスプレスなど19のパートナー。
(沖本憲司)
(米国)
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