米議会予算局、債務上限対応なければ7~9月に連邦政府は債務不履行の可能性と試算
(米国)
ニューヨーク発
2023年02月17日
米国議会予算局(CBO)は2月15日、議会で調整している債務上限問題(関連ハイパーブラックジャック)について、このまま対応がない場合、7月から9月、すなわち米国予算年度の第4四半期中に支払い資金が枯渇し、連邦政府は債務不履行となるとの試算を発表した。
連邦政府の債務発行残高はすでにその法定上限の31兆4,000億ドルに達しており、財務省は公務員退職・障害基金(CSRDF)などへの投資を一時停止するなどで手元資金を工面している。財務省の以前の試算ではこうした対応により、6月上旬までは資金需要に対応できるとされていたが(2023年1月16日記事参照)、最新データを基にCBOが新たに試算したところ、やや期限が後ろ倒しになったかたちだ。ただし例年、米国で所得税などの納付が多く見込まれる4月の歳入が想定より少なかった場合、7月より以前に財務省において対応資金が枯渇する可能性があるとしている。
また、この試算にあわせてCBOは、2024年から2033年の財政赤字などの見通しについても発表しており、財政赤字は今後10年間の平均で約2兆ドル生じることが見込まれ、2022年実績の財政赤字1兆3,800億ドルから年々悪化していくと試算している。ジョー・バイデン大統領は先日行った一般教書演説において、「私の予算案は2兆ドル赤字を削減する」と述べたが(関連ブラック ジャック web)、相次ぐ大型経済対策や高齢化による支出拡大圧力などにより、中長期的には財政赤字が拡大する従来の傾向は変わらない結果となった。
バイデン大統領は、共和党が予算削減案への同意を迫るが、同党のこれまでの提案を総合すると「10年間で3兆ドルの債務が増加する」と批判しており(ロイター2月15日)、下院共和党トップのケビン・マッカーシー議長(共和、カリフォルニア州)と継続的に債務上限対応につき協議していくことで合意しているものの、共和党との調整の見通しはいまだ立っていないのが現状だ。
(宮野慶太)
(米国)
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