2023年の成長率見込みは7.3%、公共事業やインフラ整備を促進へ

(コートジボワール)

アビジャン発

2023年01月31日

コートジボワール政府は2022年に、2030年までの上位中所得国入りを目指して、投資総額59CFAフラン(約1,000億ドル)にのぼる「20212025年国家開発計画」を導入した(2022年7月5日記事参照)。政府は大規模なインフラ整備や公共事業を継続するなど景気刺激を重視する姿勢を示しており、前年比18%増の大型予算で積み増しした公共投資や政府支出の増加に加え、民間投資や個人消費が拡大するとみられる。こうした背景もあり、2023年の実質GDP成長率は7.3%の見通しで、2024年以降も年率7%台の高い成長を維持する見込みだ。

政府は国や民間からの広範な投資を見込む今次中期計画を通じて、カカオ、カシューナッツ、綿花など主要農産品の国内加工の拡大、大型橋梁(きょうりょう)や高規格幹線道路の整備、国際空港や港湾の拡張、鉄道、ダム、発電所、送電網の建設、地方都市での農産物加工拠点(アグロポール)開発、大学、職業訓練センター、病院などの建設に伴うインフラの改善とともに構造改革を推進している。

例年、コートジボワールの貿易は黒字で推移しており、2023年の輸出も、カカオ豆を始めとする農産品や石油、金など主要輸出産品の生産増加や国際価格上昇の恩恵を受けることが見込まれる。しかし、202212月に、EU加盟国と欧州議会が、木材、カカオ、コーヒー、パーム油、大豆、牛肉、革、チョコレート、家具など特定の派生製品を対象とする森林破壊防止のデューディリジェンス義務化規則案に合意した。同法が正式に承認されれば、EUを最大の貿易相手国とするコートジボワールの輸出にも影響を与えることが懸念される。

コートジボワール政府は「国家気候変動プログラム(NCCP)」を立ち上げるなど、脱炭素や気候変動へも積極的に取り組んでいる。政府は2030年までに再生可能エネルギーによる発電容量を全体の42%にまで引き上げるほか、森林被覆率を国土の20%以上にすることを目標に掲げている(2022年11月4日付地域・分析レポート参照)。

なお近年、サヘル地域で広がるテロの脅威を背景に、隣国のマリ、ギニア、ブルキナファソでクーデターが相次いでいる(2023年1月13日記事参照)。コートジボワールを取り巻く安全保障・治安状況には、引き続き注視が必要だ。

(渡辺久美子)

(コートジボワール)

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