伊藤忠商事と米レイヴェン、ANAとJAL向けに持続可能な航空燃料供給で合意

(米国、日本)

ヒューストン発

2023年01月19日

伊藤忠商事は117日、米国の持続可能な航空燃料(SAF)製造企業レイヴェン(本社:ワイオミング州パインデール)と、全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL)向けにSAF供給で合意したと発表した。

伊藤忠商事は20218月にレイヴェンに出資し、SAFの商業生産や販売に向けて協業している。レイヴェンは、植物系廃棄物や都市ごみ、都市ごみの発酵により発生するメタンガス、有機廃棄物から水素やSAFなどのクリーンな燃料を製造する技術を有しており、2024年初めから水素製造プラントの商業運転を開始する予定だ。同社の技術は、燃焼プロセスがなく、長期間安定的に再生可能燃料を製造することができるとしている。

レイヴェンは2025年にもカリフォルニア州内でのSAF生産を目指しており、2034年までには欧米で年間20万トン規模の生産を行う予定だ。ANAJALSAFを供給することにより、2030年に航空燃料全体の10%をSAFに置き換えるという国土交通省航空局の目標実現にも寄与すると位置付けている。

国際民間航空機関(ICAO)は、航空機が排出する二酸化炭素(CO2)を2050年までに実質ゼロとする目標を掲げており、2024年以降は2019年比で排出量を15%削減、もしくはオフセットすることが求められる。航空業界の脱炭素化の動きはより一層加速し、日本を含む各国でのSAFの需要増加が今後見込まれているという。

世界のSAFの供給量は現在、ジェット燃料全体の約0.03%にとどまっているとされる。今後のSAF製造拡大に伴う原料の多様化は不可欠で、廃棄物を原料とするレイヴェンは量、コストの観点でSAF供給の安定に貢献することが期待されている。

伊藤忠商事はSAFの安定供給体制の構築を通じて、持続可能な開発目標(SDGs)への貢献、循環型社会の実現に向けて取り組む方針だ。伊藤忠商事は脱炭素化の取り組みを進めており、年12月には米国の燃料電池メーカーのアップスタート・パワーと資本・業務提携したと発表している(2022年12月21日記事参照)。

(沖本憲司)

(米国、日本)

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