伊藤忠商事、米国の燃料電池メーカーのアップスタート・パワーと資本・業務提携
(米国、日本)
ヒューストン発
2022年12月21日
伊藤忠商事は12月19日、米国の次世代型燃料電池メーカーであるアップスタート・パワー(本社:マサチューセッツ州サウスボロー)の第三者割当増資を引き受け、アップスタートが製造する次世代型燃料電池の日本市場での共同開発、製造、マーケティング、独占販売に関する戦略的業務提携契約を締結したと発表した。
発表によると、アップスタートは住宅用燃料電池システム「Upgen NXG」を製造・販売しており、以下の特徴を持つ分散型発電としての次世代型燃料電池の製品化に成功し、米国市場で実装を始めている。
- 間欠運転機能(注):短時間での発電のオン・オフが可能
- 機器のコンパクト化:貯水タンクが不要
- 多様な燃料の選択肢:都市ガス、プロパンガス、メタンなど
間欠運転機能の実現により、太陽光と蓄電池を主力電源としつつ、梅雨時や発電・蓄電容量を超える需要が発生する場合に、「Upgen NXG」がバックアップ電源として発電し、電力の供給が可能になるという。
伊藤忠商事は、展開中の住宅用太陽光と蓄電池ネットワークを制御する人工知能(AI)ソフトウエアであるグリッドシェアを「Upgen NXG」にも接続し、系統用電力もあわせた最も経済的な電力供給を家庭ごとに判断、制御することで、電気料金高騰に対するソリューションを提供する予定だ。
また、伊藤忠商事は、貯水タンクが不要になることで機器を大幅にコンパクト化・コスト削減できるメリットを生かし、戸建て住宅だけでなく、集合住宅への分散電源のネットワーク化も検討を進めるとも発表している。多様な燃料をシステムの改良なく使用できることから、分散電源ネットワークの面展開を図るとしている。
同社は、蓄電池を起点としたエネルギーマネジメントプラットフォームに、分散発電源「Upgen NXG」を加えることで、系統システムと電力価格安定化に寄与する新たな仕組みを構築し、脱炭素社会の実現を目指したビジネスを推進する方針としている。
(注)システムの稼働と停止を繰り返すこと。
(沖本憲司)
(米国、日本)
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