飲料容器のデポジット制度の概要発表、使い捨てプラ製品の禁止対象も拡大
(英国)
ロンドン発
2023年01月24日
英国政府は1月20日、イングランド、ウェールズ、北アイルランドを対象とした飲料容器へのデポジット・リターン・スキーム(DRS、注)についての意見公募に対する政府回答を発表した。導入後3年以内に回収率を90%まで高めることを目標に、2025年10月1日からの導入を目指す。今後必要な法制を最終化して2023年中に施行、2024年夏までにDRSを運用する機関(DMO)を決定するとしている。
対象となる製品は、容量50ミリリットルから3リットルの飲料容器。素材はイングランド、北アイルランドについてはPETボトル、スチール缶、アルミ缶、ウェールズではこれらに加えてガラス瓶も対象となる。デポジットの金額はDMOが定める。また、DRSの対象となる製品には、対象製品であることが分かるようロゴなどのマークのほか、返却時に読み取るバーコードなどの識別マークの表示を義務付ける意向も示した。小売店に対しては、原則として返却ポイントの設置を義務付けるとしたほか、飲料の宅配を行う大手スーパーマーケットには引き取りサービスを導入するよう働きかけるとした。
スコットランドでは2023年8月16日からPET、スチール、アルミ、ガラスの使い捨て容器に入った飲料に対し、20ペンス(約32円、1ポンド=100ペンス、1ポンド=約161円)のデポジットを上乗せすることが決定している。
また、英国政府は14日、イングランドでの使い捨てプラスチック製品の禁止対象を拡大することを発表(ブラック ジャック ブラック、法案は議会ウェブサイト参照)。2023年10月から導入する。拡大する対象は皿、トレー、ボウル、カトラリー、風船の棒。このほか、特定のポリスチレン製カップや食品容器も禁止の対象とする。ただし、調理済みの食品向けなど、包装としての役割を果たす皿、トレー、ボウルについては、拡大生産者責任(英政府、ブラック ジャック ディーラー)の対象となっていることを踏まえ、禁止の対象外とするとしている。
現在、政府はおしぼり、たばこのフィルター、小袋などの使い捨てプラスチック製品についても、禁止の対象とするかの検討を行っている。
なお、スコットランドでは2022年6月1日から使い捨てプラスチック製のカトラリー、皿、ストロー、マドラー、風船の棒、発泡ポリスチレン製の食品容器、カップ、飲料容器の提供が禁止されている。ウェールズでも2022年9月20日に特定の使い捨てプラスチック製品の提供を禁止する法案が議会に提出されている(対象製品の詳細は自治政府ウェブサイト参照)。
(注)飲料用容器の購入時にデポジットを支払い、空の容器を返却することで返金を受けられるスキーム。
(山田恭之)
(英国)
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