2023年の最低賃金は54.7%増
(トルコ)
イスタンブール発
2022年12月28日
トルコ労働社会保障省の12月22日の発表によると、2023年1月1日以降の1日当たり最低賃金は333.6リラ(約2,335円、2022年12月28日付換算レートで1リラ=約7円)に引き上げられる。2022年7月1日~12月31日の1日当たり215.7リラから54.7%増となる。最低賃金の月額グロスが1万0,008リラ、同ネットで8,506.80リラとなった。また、雇用者側の負担は合計で1万1,759.4リラとなる(添付資料表参照)。
トルコの物価上昇は、2022年11月時点で消費者物価指数(CPI)上昇率が前年同月比84.4%、国内生産者物価指数(D-PPI)上昇率は136.0%と高騰が続いており、国民の購買力低下につながっている。政府はこれに対して、最低賃金を2021年12月に前年比50.5%増(2022年1月1日発効、関連ブラック ジャック 必勝 法)、2022年6月に同年上半期比29.3%増(同7月1日発効、関連ブラック クイーン ブラック)と2度にわたって引き上げるなど、購買力維持に向けた調整を図っていた。なお、全労働者における最低賃金受給労働者の比率は約37%となっている。
2023年の最低賃金決定に関しては、労働社会保障省、雇用者代表、労働者組合連合(Türk-İş)からなる最低賃金決定委員会が、労働者組合側の要求した月額ネット9,000リラで合意することができず、労働者組合側は会議を途中で退席したが、労働社会保障省と雇用者代表の合意で承認された。
雇用者と被雇用者の溝は大きく、雇用者側からも不満の声が上がっている。トルコ現地経済紙「エコノミム」(12月23日付)によれば、特に労働集約型の繊維衣料品セクターなどからは、雇用者の負担が軽減されるような施策がなければ、雇用喪失が発生するとし、最低賃金の購買力を維持するためにもインフレを恒久的に低レベルに抑制する必要があるとの意見が出ている。なお、2022年10月時点の失業率は10.2%と、いまだ2桁台にある。
レジェップ・タイップ・エルドアン大統領は最低賃金について、「インフレ率を2023年半ばまでに30%、同年末にかけて20%まで引き下げるよう努力している。最低賃金は、この目標をベースに決定した。想定外の状況が見られるようなら、2022年7月の決定のように年内に調整することも可能だ」と述べた。
(中島敏博、エライ・バシュ)
(トルコ)
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