2022年の最低賃金、ネットで前年比50.5%増
(トルコ)
イスタンブール発
2021年12月20日
トルコ政府は2021年12月17日付官報31692号で、2022年の最低賃金を1日当たり166.80リラ(約1,118円、1リラ=約6.7円)と発表した。この結果、最低賃金は月額グロスで5,004リラ(前年比39.9%増)、同ネットで4,253.40リラ(50.5%増)となった(添付資料表参照)。
レジェップ・タイップ・エルドアン大統領は2021年12月16日の記者会見で、「所得税と印紙税を最低賃金の対象から外した。生活保護手当(注)込みだと最低賃金は4,250リラを上回る」と述べた。経済界は、雇用者側の負担軽減にもなる免税措置が適用されたこともあり、おおむね好意的に捉えている(「デュンヤ」紙12月16日)。
ただし、所得税と印紙税の免除については法改正が必要となる。また所得税の免除により、制度上は所得税にひもづいている労働者への生活保護手当が支給できなくなるため、生活保護手当に関しても制度変更の必要がある。
エルドアン大統領は記者会見で、「物価の上昇圧力が労働者を押しつぶすことがないよう決意を示した」とし、減価が進むトルコ・リラに関しても、「われわれの主要通貨はトルコ・リラで、ドルやユーロではない」と強調、「これまでも雇用主がドルで従業員を雇っていたわけではない」と主張した。また、「為替相場の変動や法外な物価上昇による不確実性を一刻も早く解消する」と述べた。
(注)生活保護手当は、労働者の婚姻状況や子供の数により、労働者の最低賃金から引き落とされる所得税額が割引かれる制度。子供が多いほど、所得税の割引が高くなる。「ヒュッリエット」紙(12月18日)の算出によると、2022年の生活保護手当は1人当たり403.4~686.4リラになる。2022年以前の制度では、生活保護手当は最低賃金に算入されていたが、2022年の制度変更後に関しては不明。
(エライ・バシュ)
(トルコ)
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