BMWが燃料電池車の少量生産を開始、燃料電池はトヨタとの共同開発
(ドイツ)
ミュンヘン発
2022年12月08日
ドイツ自動車大手のBMWは12月2日、燃料電池車(FCEV)の「iX5ハイドロジェン(iX5 Hydrogen)」の少量生産を開始したと発表した。バイエルン州ミュンヘン市内の研究・イノベーションセンターで生産、2023年春から技術デモンストレーション用に世界の幾つかの地域で投入する。
BMWのフランク・ベーバー開発担当役員は今回の発表に際して「(燃料電池のエネルギー源となる)水素は(乗用車のような)移動手段にとって重要性を増すと確信している」とし、「長期的には、車両動力源は蓄電池と燃料電池のミックスが合理的」とした。加えて、燃料電池はコバルト、リチウム、ニッケルといったクリティカルマテリアル(重要な原材料、関連カジノ 無料 ゲーム アプリ)を使わないため、燃料電池の開発により同社の地政学的強靭(きょうじん)性を高められるという。
BMWによると、iX5ハイドロジェン用燃料電池セルは2013年から始まったトヨタ自動車とBMWの協業で開発されたという。他方、燃料電池スタックと駆動システムはBMW独自で開発したもの。BMWは2021年9月にミュンヘン市で開催された「IAAモビリティ2021」(国際モーターショーIAA、ブラック)でiX5ハイドロジェンを展示、同年から欧州内で同車種の走行試験も始めていた。
BMWは、FCEVが(1)広域の充電インフラが整っておらず充電式電気自動車に不利な地域、(2)長距離走行、(3)大型車種に有利としている。市場ニーズやその他の条件によっては、BMWは2025~2030年に、FCEVの大量生産を開始することも視野に入れる。
ドイツ市場に限れば、FCEV(乗用車)のシェアは限定的だ。連邦自動車局(KBA)によると、2022年10月1日時点の国内の乗用車登録台数残高(4,873万3,413台)に占めるFCEVの台数は1,820台(0.004%)にとどまる。同年1~10月に国内で登録されたFCEVは666台で、うち、現代自動車「ネッソ(NEXO)」が436台、トヨタ「MIRAI」が225台、BMW「X5」が5台だった。デジタル・交通省は国内のFCEV導入を助成、市場の形成を図っている(2022年2月17日記事参照)。
(高塚一)
(ドイツ)
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