2023年はグリーン成長戦略とWeb3.0に注目
(アラブ首長国連邦)
ドバイ発
2022年12月28日
アラブ首長国連邦(UAE)における2023年の注目ポイントは、脱炭素や水素・アンモニア生産に向けたグリーン成長戦略と、暗号資産やメタバースなどの「Web3.0」(注)ビジネスの推進だ。
UAEは、世界の潮流となっている脱炭素や気候変動への取り組みにおいて、中東・北アフリカ(MENA)地域をリードする存在だ。2050年までに温室効果ガス(GHG)排出量ネットゼロの達成を目指す。目標達成に向け、国内では再生可能エネルギーへのシフトや、水素・アンモニア生産などの「エネルギー・トランジション」も活発化している(2022年11月11日付地域・分析レポート参照)。2023年の大きなモメンタムは、UAEで開催される国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)だ。UAEは2022年にエジプトで行われたCOP27においても、エジプトでの世界最大級の風力発電所建設を発表(関連ブラック ジャック オンライン)するなどしたが、2023年11月のCOP28会期中には、UAEの取り組みを世界に示すため、さらに多くのプロジェクトが発表されるとみられる。
また、ドバイを中心に暗号資産、メタバース、非代替性トークン(NFT)といった次世代「Web3.0」の産業誘致にも積極的だ。ドバイ政府は2022年5月、「バーチャル資産規制局(VARA)」を世界で初めて設立した。国内で関連ビジネスを行うに当たっての制度構築に取り組み、年内の発表を目指す。7月には「ドバイ・メタバース戦略」を発表し、2030年までに4万人の雇用創出を目指す。これに呼応し、大手暗号資産取引所のバイナンスなどが相次いでドバイでビジネスライセンスを取得した。仮想通貨(暗号資産)の価値下落を受け、勢いに減速感はあるものの、今後ドバイが同分野でのビジネスハブとなる萌芽(ほうが)が見られ始めている。
一方、税率9%の法人税が2023年6月から初めて導入されることが決定し、在UAEの企業にとっては懸案となっている。2022年2月に導入が発表され、12月には法人税施行規則が発行された(2022年12月13日記事参照)ものの、フリーゾーン企業への課税条件など、依然として不明瞭な部分が残り、政府からのさらなる発表が待たれている。
(注)次世代インターネットとして注目される概念。巨大プラットフォーマーの支配を脱し、分散化して個と個がつながった世界。電子メールとウェブサイトを中心とした一方向的なトランプ ゲーム ブラック ジャック伝達が行われるWeb1.0、スマートフォンとSNSに特徴付けられる双方向でのトランプ ゲーム ブラック ジャック発信が行われるWeb2.0に続くもの。
(山村千晴)
(アラブ首長国連邦)
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