双日、ムンバイ~アーメダバード高速鉄道の総合車両基地建設を受注
(インド)
アーメダバード発
2022年12月09日
日系大手商社の双日(本社:東京都千代田区)はインドのラーセン・アンド・トゥーブロ(Larsen & Toubro Limited、注1)とコンソーシアムを組み、インド高速鉄道公社(National High Speed Rail Corporation Limited:NHSRCL、注2)が発注するムンバイ~アーメダバード高速鉄道建設事業の一部の「サバルマティ総合車両基地パッケージD2」の建設工事を受注したと発表した。
同社プレスリリースによると、この建設工事は、グジャラート(GJ)州最大都市のアーメダバード市の北西部に位置するサバルマティに、同高速鉄道事業計画で唯一の総合車両基地を建設するもの。2023年中に着工し、2028年の完工を見込み、車両基地の設計・建設や保守関連機器の調達などを合わせた受注額は約630億円となる。
双日はこれまでにも別途、インド政府傘下の貨物専用鉄道公社(Dedicated Freight Corridor Corporation of India Ltd.:DFCCL、注3)から、デリー~ムンバイ間貨物専用鉄道事業(注4)の軌道敷設や電化、信号・通信工事を受注した実績がある。
インド高速鉄道事業は、日本のODAの円借款を活用して、西岸マハーラーシュトラ(MH)州ムンバイ~GJ州アーメダバードを結ぶ508キロの区間に、初の高速鉄道として日本の新幹線方式を導入する。同高速鉄道が完成すれば、在来線の特急で現在約7時間かかる区間を約2時間に短縮できる見込みだ。また、高頻度の大量輸送システムの構築により、旅客の利便性が向上するとともに、環境負荷が少ない鉄道のメリットである大気汚染や騒音などの減少、沿線地域の経済発展に寄与することが期待される。
同高速鉄道公社は11月14日付で、508キロの高速鉄道建設事業の全区画のうち、最後の土木・建設工事となる、MH州シルファタとGJ州との州境に位置するザロリ間を結ぶ約135キロの区間の入札を公示している(2022年11月24日記事参照)。
(注1)1938年創業のインド最大のゼネコン兼総合エンジニアリング会社。建設業、IT開発、エネルギー系エンジニアリングなど多岐にわたるビジネスを国内外で展開している。
(注2)ムンバイ-アーメダバード高速鉄道の資金調達、建設、維持、管理を目的として、2016年2月12日に設立。インド鉄道省とGJ州政府、MH州政府が共同出資する「特別目的公社」。
(注3)鉄道省が2006年に設立した公社。国内に貨物専用鉄道を建設し、維持・運営する。
(注4)急増するインド貨物需要への対応、物流ネットワークの効率化のため、デリー~ムンバイ間(西回廊)の約1,500キロを結ぶ、主にコンテナ輸送を担う貨物専用鉄道。高出力、高速の機関車を導入する。日本の政府開発援助として円借款を活用。
(古川毅彦)
(インド)
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