高速鉄道の最後の土木・建設区間の入札案件公示

(インド)

アーメダバード発

2022年11月24日

インド高速鉄道公社(NHSRCL、注)は11月14日付で、ムンバイ~アーメダバード間の高速鉄道建設事業(2018年6月15日付地域・分析レポート参照関連ブラック ジャック ランキング)の135キロ区間について、整備工場、高架橋、トンネル、3つの駅などを含む土木・建設工事の設計・施工に関する入札(パッケージ番号:MAHSR-C3)を公示した。入札は「日本のODA融資に基づく調達ガイドライン」に準拠した手続きにより実施され、ODA適格供給国の全ての入札参加者を対象としている。2023年3月14日に応札を締め切る予定だ。

入札公告や現地報道によると、今回の入札区間はマハーラーシュトラ州シルファタとグジャラート州との州境に位置するザロリ間を結ぶ約135キロで、この区間の36の橋梁(きょうりょう)、6つのトンネルと、3駅(タネ、ビラール、ボイサール)に関する土木・建設工事が含まれている。NHSRCLは7月に「バンドラ・クルラ・コンプレックス(BKC)地下駅建設工事」の入札を公示し、9月には「BKC地下駅とシルファタを結ぶ7キロの海底トンネルの建設工事」の入札をそれぞれ公示しており、落札企業が近く決定する見込みだ。今回新たな入札案件の公示が行われたことにより、508キロに及ぶ高速鉄道建設事業の全区画の全ての土木・建設工事に関する入札が公示されたとしている(「タイムス・オブ・インディア」紙11月16日)。

一方、同事業について円借款を通じて支援する国際協力機構(JICA)は10月12日、「ムンバイ~アーメダバード間の高速鉄道建設事業」の「駅周辺開発の計画策定」を支援することで、インド政府と合意したと発表した。4つのモデル駅を指定し、各駅へのアクセスや公共交通への乗り換え、商業施設へのアクセスなど、利用者の利便性を考慮しつつ、高速鉄道駅を中心とした周辺地域の街づくり計画策定を支援するとしている。高速鉄道建設事業を通じて、「駅ナカ」開発や、鉄道駅周辺の総合的な街づくりを得意とする日本の経験を生かした新たなビジネスチャンスが生まれる可能性もある。

(注)インドのムンバイ~アーメダバード間の高速鉄道の資金調達や、建設、維持、管理を目的として、2016年2月12日に設立。鉄道省とグジャラート州政府、マハーラーシュトラ州政府が共同出資する「特別目的公社」。

(古川毅彦)

(インド)

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