ロシア産原油への価格上限を導入、ウクライナには多方面から支援

(英国、ロシア、ウクライナ)

ロンドン発

2022年12月06日

英国政府は12月2日、G7諸国とオーストラリア、EUと連携し、12月5日から第三国向けに輸送されるロシア産原油に対して価格上限を設定することで合意外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした(関連ブラック ジャック ディーラー)。上限は1バレル当たり60ドルとし、今後見直しも行う予定。これにより、合意に参加する国・地域の企業は価格上限以下の場合のみ、ロシア産原油の海上輸送向けサービスを提供することが認められる。ロシア産の石油製品については、2023年2月5日から同様の措置を導入する。英国財務省は金融制裁実行局内に新たにチームを設置し、今回の価格上限にかかるライセンスや執行システム、企業向けの支援、上限のモニターなどを担う。

2022年11月30日には、ウクライナへの侵攻を促進するロシアの政府関係者22人に対し、英国内の保有資産の凍結や英国への渡航禁止などの制裁措置外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますをとることを発表している。

ウクライナへの追加支援も発表している。リシ・スナク首相は11月19日にキーウ(キエフ)を訪問し、ボロディミル・ゼレンスキー大統領と会談外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。対航空機用装備や、対ドローン技術を含む5,000万ポンド(約83億5,000万円、1ポンド=約167円)規模の支援パッケージを発表した。また、世界食糧計画への1,200万ポンド、国際移住機関への400万ポンドの拠出についても確認した。これらを通じ、発電機やシェルターなどを提供する。11月25日には、ジェームズ・クレバリー外務・英連邦・開発相がキーウを訪問。同相は、追加の緊急車両の提供や地雷撤去に対する支援額の拡大などを確認した。また、ゼレンスキー大統領やドミトロ・クレバ外相らと会談した。このほか、テレーズ・コッフィ環境・食糧・農村地域相とともに、世界食糧計画を通じ、ウクライナが主導する、飢饉(ききん)のリスクにさらされる国々への穀物供給イニシアチブに対し500万ポンドを拠出することにコミットした。11月14日には、グラント・シャップス・ビジネス・エネルギー・産業戦略相が英国の企業に対して、緊急用のエネルギー機器のウクライナへの供給を検討するよう呼び掛けている。

また、政府は11月30日、ウクライナとの間でデジタル貿易協定に原則合意したことを発表した。同協定では、デジタル市場、データフロー、消費者・企業の保護、デジタル貿易システム、金融サービス、テクノロジー連携といった分野が取り上げられている(詳細は英国政府ウェブサイト参照外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

(山田恭之)

(英国、ロシア、ウクライナ)

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