最高裁、ブラック ジャック 攻略
(英国)
ロンドン発
2022年11月29日
英国の最高裁判所は11月23日、スコットランドの英国からの独立の是非を問う住民投票は英国政府の同意なしには実施できないとの判断を示した。
スコットランドでは、2014年9月に独立の是非を問う住民投票が実施され、投票率84.6%という高い投票率の中、賛成44.7%、反対55.3%で独立反対派が勝利した(2014年9月22日記事参照)。一方、英国のEU離脱(ブレグジット)を問う国民投票については、スコットランドでは離脱38.0%、残留62.0%という結果になっていた(2016年6月24日記事参照)。また、2021年5月のスコットランド議会選挙では、独立賛成派のスコットランド国民党(SNP)と緑の党で過半数を占め(2021年5月10日記事参照)、2022年5月の統一地方選挙でも、SNPが議席を伸ばしていた(2022年5月11日記事参照)。一方、英国政府は2021年1月に当時のボリス・ジョンソン首相がスコットランド独立の是非を問う住民投票は「1世代に1度とすべき」と発言して、再度の実施を否定していた(「BBC」2021年1月3日)ほか、アリステア・ジャック・スコットランド担当相も同年8月に、同地域の6割が継続的に住民投票を希望した場合に限り、投票への意向があると認めると述べていた(「ポリティコ」2021年8月27日)。
こうした中、2022年6月28日にはスコットランド自治政府首相のニコラ・スタージョンSNP党首が2023年10月19日に再度、スコットランド独立を問う国民投票を実施する計画を発表。自治政府は独立国民投票法案を発表、英国政府の合意なしに法案を可決できるかについて、最高裁に付託していた。
今回の結果を受け、スタージョン氏は「非常に失望しているが、裁判所の判決を尊重し、受け入れる」とした。その上で、スコットランドの人々が意思を表明できる別の手段を見つけなければならないとし、次回の英国総選挙を事実上のスコットランド独立の是非を問う国民投票とすることを選択肢として挙げている。
リシ・スナク英首相は今回の最高裁の判断について「明確かつ決定的な判決」と歓迎の意を議会で述べた。
英調査会社ユーガブによるスコットランドの16歳以上を対象とした調査によると、「スコットランドは英国から独立すべきか」という質問に対しては、10月時点で賛成49%、反対51%と拮抗(きっこう)している。
(菅野真)
(英国)
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