英国で統一地方選実施、保守党は大きく議席減

(英国)

ロンドン発

2022年05月11日

英国で5月5日に、イングランド、スコットランド、ウェールズの統一地方選挙が行われた。改選対象はイングランドの146自治体(注)、スコットランドの32自治体、ウェールズの22自治体の計200自治体。BBCによれば、イングランドの対象自治体では、保守党が336議席減の1,078議席となった一方、労働党は22議席増の2,265議席となった。大きく議席を伸ばしたのは自由民主党(712議席)と緑の党(116議席)で、それぞれ193議席増と63議席増となった。労働党は全体の議席数の伸びこそ大きくなかったものの、これまで保守党が長らく優勢だったロンドンのウエストミンスター、ワンズワース、バーネットで勝利。保守党の地方議員からは、ロックダウン下での規制違反や生活費の高騰への対応などが議席減の原因として、ボリス・ジョンソン首相に対する非難が出ていると報じられている。

スコットランドでは、議会与党のスコットランド国民党(SNP)が議席を伸ばした一方、保守党は63議席減と大きく議席を減らした。2021年の議会選で注目が集まった同地域の独立(スコットランド議会選で独立派が過半数、ブラック)については、本地方選では議会選時に比べると注目度はあまり高くなかったとされている(「BBC」5月6日)。

ウェールズでは、議会与党の労働党が66議席増と躍進した一方、保守党は86議席減とここでも大きく議席を失い、前回(2017年)に唯一多数を確保したモンマウスシャーでも敗北した。

北アイルランド議会では初めて親アイルランド派が最大に

同日には、英国のEU離脱後初となる北アイルランド議会選挙(90議席)が行われ、親アイルランド派政党のシン・フェイン党が27議席を獲得し、初めて最大政党となった。同党はマニフェストで、生活費の上昇への対応を強調する一方、アイルランドとの統一については英国、アイルランド両政府から統一に関する国民投票の実施日を確保するとしている。親英派の民主統一党(DUP)は、前回選挙(2017年)時から3議席減らし25議席で第2党となった。大きく議席を伸ばしたのは同盟党(Alliance Party)で、9議席増の17議席を獲得した。同党は、親英派と親アイルランド派の2大政党による政治の混乱を批判し、生活費の上昇や医療サービス、気候変動などの問題に注力するとしていた。

(注)今回、統一地方選が開催されたのは、イングランド333自治体のうち、前回2018年に改選された自治体。議員全員の改選のほか、議員の半数や3分の1が改選された自治体も含まれる。

(山田恭之)

(英国)

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