デリー首都圏のディーゼル発電機規制を含む空気汚染対策の適用開始
(インド)
ニューデリー発
2022年10月24日
インド大気質管理局(CAQM)は10月19日、デリーの空気質指数(AQI)が数日以内に悪化する見通しであることを受け、デリー首都圏の空気汚染対策として、ステージ2(AQI301以上)の各種措置を即時適用する通達を発出した。
ステージ2の対策の主な措置は以下のとおり。
- 建設現場の防じん対策の定期的な検査と厳格な運用
- ホテルやレストラン、屋外食堂などでの炭やまきの使用禁止
- 公共電力の安定供給保証
- ディーゼル発電機の使用禁止(医療施設や空港、鉄道駅、軍事施設など緊急を要する、あるいは日常生活に不可欠なサービスは対象外。製造業企業は一定の要件下で1日当たり最大2時間まで使用可。同要件は2022年10月4日記事参照。)
CAQMはまた、同通達で、電力会社に電力の安定供給をあらためて要請したほか、市民には私有車ではなく、公共交通機関の利用を推奨している。
今回の措置決定前の10月15日、CAQMは建設現場や企業などに対して、事前予告なく現場査察を行うことがあることも明らかにしている。CAQMは10月5日にステージ1(AQI201以上)の措置を適用し、建設現場での資材や廃棄物の敷地内保管や、工事面積が500平方メートル以上の現場の事前登録などを求めている。しかし、CAQMが14日までに8,580カ所以上の建設現場で現地査察を行った結果、491カ所で違反を確認したと発表。悪質な違反と判断する場合には、違反企業に操業一時停止命令だけでなく、場合によっては罰金や訴訟も辞さないと警告している。
なお、CAQMの行動計画(2022年8月改定)では、空気汚染がさらに悪化した場合、建設工事の原則停止などを課すステージ3(AQI401以上)、トラックのデリー市内通行の原則禁止などを課すステージ4(AQI451以上)についても定めている。他方、製造業企業に対するディーゼル発電機の使用規制に関しては、ステージ3、4でもステージ2と同一の措置内容となる(CAQMによる2022年10月4日付通達参照)。
(広木拓)
(インド)
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