スナク元財務相が新党首に選出、英国初のアジア系首相へ

(英国)

ロンドン発

2022年10月25日

英国の与党・保守党は1024日、エリザベス・トラス首相の後継となる新党首にリシ・スナク元財務相を選出した。前回の党首選挙での敗北からわずか7週間での党首就任となった(2022年9月6日記事参照)。

スナク氏は1025日に国王チャールズ3世の任命を受け、首相に就任する。インド系の同氏が就任すれば、英国初のアジア系首相となる。

トラス首相が1020日に突如、辞任を発表した(2022年10月21日記事参照)ことに伴い始まった党首選は、約1週間で新党首を決定するという異例のペースで行われた。保守党議員100人の推薦が立候補の条件となっていた今回の党首選では、ペニー・モーダント下院(庶民院)院内総務・枢密院議長のほか、ボリス・ジョンソン前首相の名前も候補に挙がっていた。モーダント氏は22日、スナク氏は23日に党首選参加への意向を表明していた。

なお、ジョンソン前首相は正式には参加の意向を表明していなかったものの、1023日に声明を出して不参加を表明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、一致団結した政党でない限り効果的な政権運営はできないとし、党首への立候補は正しいことではないと判断した、と述べた。

これにより、候補は2人に絞られることとなったが、立候補の期限直前にモーダント氏が撤退を表明し、党員による投票を経ずにスナク氏が新党首となることが決定した。

スナク氏は党首に選出された後に会見を実施外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。英国が深刻な経済的課題に直面していることは明らかとして、課題の解決のために、保守党、国民を一つにまとめることを最優先事項とするとした。さらに、英国民のために誠実かつ謙虚に取り組むと続けた。

会見では一体性を呼び掛けた同氏だが、党内の分裂を懸念する声も多い。同氏は財務相時代に、ジョンソン前首相と対立し辞任している(2022年7月7日記事参照)。これがジョンソン前首相の辞任のきっかけの1つとなっており、ジョンソン氏の支持者からは同氏に対して非難の声もある、と報じられている。

金融市場は、1024日時点では同氏の就任を好意的にとらえている。ただし、同氏にとって真に最初のポイントになるのは1031日に発表予定の中期財政計画とみられる。

(山田恭之)

(英国)

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