エネルギー高騰対策を中心とした2023~2024年予算で合意

(ベルギー)

ブリュッセル発

2022年10月18日

ベルギー連邦政府のアレクサンドル・ド・クロー首相は10月11日、2023~2024年の予算案に合意したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますプレスリリース資料PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)、フランス語)した。「守る」をキーワードとした同予算案は、国民の購買力と企業の競争力の維持を念頭に置き、一連の政策に2年間で合計36億ユーロを見込む。主な政策の内容は以下のとおり。

  1. 家計向けエネルギー価格高騰対策:既に実施している低・中所得者を対象としたガスと電気の一定使用量に対して割引料金を適用する措置(関連実写 版 ブラック ジャック)を2023年3月まで継続する。暖房用の重油に対する300ユーロの給付金の継続支給に加え、木質ペレットを暖房用燃料として使用する住居向けに、新たに250ユーロの給付金を支給することを決定した。電気・ガスにかかる付加価値税(基本税率:21%)の税率を6%に減税する措置も2023年3月末まで延長する(2022年9月2日記事参照)。
  2. 家計向け支援実施のための財源確保:発電事業者に対する超過利潤税の課税(2022年1月1日~2023年6月30日の売上高が対象)に加え、原子力発電所への課徴金や石油産業などからの連帯負担金(EU理事会、ブラック ジャック)の徴収により見込まれる31億ユーロの国庫収入を消費者のエネルギー価格高騰対策のために再分配する。
  3. 中小企業を含む企業の競争力維持:2022年の「インデクセーション(物価スライド制)」(注)による企業の負担増は210億ユーロに上る。この影響を緩和するため、2023年1~6月の雇用主負担分の社会保険税率を時限的に7.07%引き下げる。また、同年7~12月分の支払い猶予を認める。政府はこれらの政策のために10億ユーロの予算を見込む。また、ガスと電気に対する物品税の引き下げ、エネルギー価格高騰を理由とした一時帰休制度、自営業者向けの一時給付金などの施策を2023年3月末まで継続する。
  4. 未来の豊かさに向けた改革:雇用率、地域間での雇用流動性の向上、労働コスト削減に向けた税制改革など、労働市場改革に取り組む。健康的な製品の消費を促すため、健康的でないと評価される製品への課税を強化する。
  5. 治安対策:10億ユーロ以上を拠出して警察官と司法関連職員を増員するなど、機能強化を図る。

(注)ベルギーでは、インフレ率に応じて賃金を引き上げる制度を導入している。

(大中登紀子)

(ベルギー)

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