エネルギー価格高騰に、家計と企業向けの追加対策を発表
(ベルギー)
ブリュッセル発
2022年09月21日
ベルギー連邦政府は9月16日、エネルギー危機によって家計と企業が困難な状況に直面しているとして、エネルギー価格高騰の影響を緩和するための追加措置の実施に合意したと発表(プレスリリース)した。今回の支援策は、政府が既に実施している総額約100億ユーロ規模の経済対策(2022年3月22日記事参照、2022年9月2日記事参照)に続くものだ。
低・中所得者を対象とした支援措置として、2022年11~12月の2カ月間、ガスおよび電気の一定使用量に対して、定額の割引料金が適用される。ガスについては、使用量5,000キロワットまでは月額135ユーロ、電気については使用量1,500キロワットまでは同61ユーロの割引となる。支援措置の対象となるのは、2021年10月1日以降に契約または更新された価格変動契約で、契約者の年間課税所得額が上限(単身者の場合は6万2,000ユーロ、夫婦の場合は12万5,000ユーロ)に満たない世帯。
また、重油を暖房用に使用する全住居向けの給付金を、225ユーロから300ユーロに引き上げる。
政府の9月19日付発表によると、企業向けの主な支援策としては以下のとおり。
- 一定の条件を満たす場合の社会保険料の支払い猶予、減免。
- 諸税の支払い期限を2カ月から4カ月に延長するとともに、流動性リスクの審査なしで分割払いを許容。
- EUの政策枠組みに沿った、エネルギー価格高騰による一時帰休制度の設定。
- 自営業者向けの一時給付金の支給。
- 11、12月に、ガスおよび電気に対する物品税をEUの最低税率まで引き下げる〔ガスは無制限に、電気は1,000メガワット時(MWh)まで軽減税率を適用〕。
上記のほかにも、エネルギー危機の影響により倒産した企業に対する時限的なモラトリアム(債務返済の猶予)や、重要な産業部門である農業食品部門に対して優先的にエネルギーを供給するなどの措置が発表された。
連邦政府のダビッド・クラランバル副首相兼中産階級・自営業・中小企業・農業・制度・民主主義改革相は「これらの一連の措置は、エネルギー価格高騰が自営業者や企業の存続や競争力に及ぼす影響を軽減するはずだ」とコメントした。
(大中登紀子)
(ベルギー)
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