8月に新規の太陽光発電案件が相次ぎ発表

(ルーマニア)

ブカレスト発

2022年09月07日

ルーマニアで8月に少なくとも3件の新規太陽光発電プロジェクトが明らかになった。

デマンドレスポンス(注1)などエネルギーソリューションを手掛けるエネルエックス・グローバルリテール(イタリア)傘下のエネルエックス・ルーマニア外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます829日、ルーマニア物流不動産開発業のウェアハウス・デ・ポー・ルーマニアに太陽光発電システムを納入すると発表した。ブカレスト北東部の物流倉庫の屋根に、年平均約3,600メガワット時(MWh)を供給する太陽光パネル約6,700枚を設置し、年間約800トンの二酸化炭素(CO2)排出量の削減を見込む。同社はこれまでも食品、小売業、オフィスビルなどにパネル約4万枚を納入した実績を持つ。

太陽光発電システム建設などを手掛ける、ブカレスト証券取引所MTS AeRO Premium上場のシムテル・ティーム(Simtel Team外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)は825日、同証取宛ての報告書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で、食品小売企業(企業名は非公開)と20277月末までの包括協定を締結し、太陽光発電所22カ所、約450万ユーロ分を1回目として受注したと発表した。

フォトン・エナジー外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますPhoton Energy、オランダ)は816日、トランシルバニア地方アルバ県テイウシュ(Teius)に同社として中・東欧で6番目となる太陽光発電所を建設すると発表。発電容量は4.8メガワットピーク(MWp)、年間約7.1ギガワット時(GWh)の再生可能エネルギーを生成する。同社は既にルーマニア国内で太陽光発電所5カ所、発電容量16.5MWpの建設を開始している。

EU統計局(ユーロスタット)によると、ルーマニアはエネルギー輸入依存率が28.2%(2020年)とEUで最も低い国の1つだ(添付資料図12参照)。政府は2022年1月、2030年までにPNRR(注2)やEU-ETS近代化基金(注3)など160億ユーロ超のEU基金を活用して脱炭素を進めると発表。2021104日に閣議決定した「国家エネルギー・気候統合計画外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますPNIESC)」は2030年までに太陽光発電能力を5.1GWh、風力発電能力を5.3GWhまで拡大させるため、再生可能エネルギー源から6.9GWh分の追加発電能力を確保することなどを定めている。さらに、同計画は2005年比でETS(注4)対象産業のCO2排出量を43.9%削減し、最終消費エネルギーに占める再エネ割合を30.7%にまで高めるとしている。

(注1)電力の需給バランスを調整する仕組み

(注2)国家復興・レジリエンス計画(2021年6月17日記事2021年12月16日記事参照

(注3)低所得のEU10カ国の気候中立達成のため、エネルギーシステム近代化とエネルギー効率向上を支援するEU基金。ブルガリア、クロアチア、チェコ、エストニア、ハンガリー、ラトビア、リトアニア、ポーランド、ルーマニア、スロバキアが対象。

(注4)排出量取引制度(2021年7月16日記事2021年10月28日記事参照

(西澤成世)

(ルーマニア)

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