アイルランドのリンデ、米国でグリーン水素の生産拡大へ
(米国、アイルランド、英国)
ヒューストン発
2022年09月14日
アイルランドの産業ガス大手リンデ(本社:ダブリン)は9月8日、米国ニューヨーク州ナイアガラ・フォールズにグリーン水素(注1)を製造する35メガワット(MW)の水電解装置(注2)を建設すると発表した。
発表によると、今回建設される水電解装置は2025年までの稼働を予定している。また、リンデが世界で設置する水電解装置の中でも最大規模となり、米国におけるリンデのグリーン液体水素の生産能力は2倍以上に高まるとしている。さらに同社は、グリーン液体水素の需要に対応するために、今後も米国での水電解装置建設を予定している。既存および新規の顧客に向けたグリーン液体水素の供給方法については、既存の液化装置と流通インフラを活用するとしている。
リンデのバイスプレジデントを務めるトッド・ローソン氏は「われわれは増大する需要に対応するとともに、より持続可能なエネルギー経済への貢献するためにグリーン水素プロジェクトへの投資を継続する」と述べている。
リンデは、世界初の高純度水素貯蔵庫と全長約1,000キロのパイプライン網を運営して液体水素を供給しているほか、世界中で200以上の水素ステーションと80の水素電解プラントを設置している。同社は米国で脱炭素化の取り組みを進めており、5月17日には英国の石油ガス大手BP(本社:ロンドン)と、テキサス州で新たな二酸化炭素(CO2)回収・貯留(CCS)プロジェクトの実施計画を発表している(英BPとアイルランドのリンデ、ブラック)。
(注1)再生可能エネルギーを利用して水を電気分解することで製造される水素。製造工程でCO2を発生させないため、環境に優しいエネルギーとされる。
(注2)プロトン交換膜(Proton Exchange Membrane:PEM)を用いて水を電気分解し、CO2を排出することなく水素を製造できる装置。
(沖本憲司)
(米国、アイルランド、英国)
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