バイデン米大統領、デトロイトモーターショーでEV普及への取り組み強調
(米国)
ニューヨーク発
2022年09月15日
ジョー・バイデン米国大統領は9月14日、デトロイトで開幕した「北米国際デトロイトオートショー」を訪問し、電気自動車(EV)普及に向けた政府の取り組みをアピールした。同オートショーは2020年、2021年に新型コロナウイルスのパンデミックの影響で中止しており、3年ぶりの開催となった。
バイデン大統領は初日のメディアデーに展示会場を視察し、一部メディアや自動車メーカー幹部らの参加者に向けて演説し、「われわれはより良い米国を築くことを選択している。気候危機に直面する中、米国の労働者が先導し、クリーンエネルギー経済を築いている」と発言。EV生産が国内に回帰していることを強調した。バイデン政権がEV普及に向けて1,350億ドルを拠出していると述べたほか、2021年11月に成立した1兆ドル超の予算措置を見込むインフラ投資雇用法の一環として、35州にEV充電器を建設するための最初の9億ドルの資金提供を承認したことを発表した(2022年6月10日記事参照)。バイデン大統領は「以前はEVを買うにはあらゆる妥協が必要だったが、今はそうではない。米国の道路は完全に電化される。I-10 (米国を東西に走る州間道路10号線)に沿って海岸から海岸まで運転しても、現在のガソリンスタンドのように充電施設を簡単に見つけることができるようになる」と述べ、EV普及の足かせとなっている充電施設の不足解消に向けた取り組みを強調した。
バイデン大統領は、輸送部門の温室効果ガス(GHG)排出量削減のため、2030年に新車販売台数の50%をEV(注)と燃料電池車(FCV)とする目標を掲げている。一方で、8月16日に成立したインフレ削減法で、EV税額控除となる車両の最終組み立て地を北米に限定するほか、バッテリー部品や、材料として使用される重要鉱物に関して厳しい調達要件を課しており、EUや韓国のほか、国内からもEV普及を遅らせる措置だとの声が上がっている(2022年8月5日記事参照)。今回の訪問でバイデン大統領は、バッテリーを含むEVの国内生産体制を確立するとともに、早期のEV化を進める政府の姿勢には変わりがないことを再度アピールした。
(注)バッテリー式電気自動車(BEV)とプラグインハイブリッド車(PHEV)。
(大原典子)
(米国)
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