供給網逼迫状況に関する指標GSCPI、8月は1.47で4カ月連続の改善

(米国)

ニューヨーク発

2022年09月09日

米国ニューヨーク連邦準備銀行(NY連銀)は97日、20221月から公表を始めたグローバル・サプライチェーン圧力指数(GSCPIを更新外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、8月は1.474カ月連続で改善したと明らかにした(添付資料図参照)。

GSCPIは、米国内や国際的なサプライチェーンにどれだけ圧力や混乱が生じているかを表す指標で、NY連銀が開発した。輸送コストを追跡するバルチック海運指数や、各国の製造業購買担当者景気指数(PMI)など27の変数を基に算出する。データ期間の平均をゼロとし、値が大きいほどサプライチェーンが逼迫している状況を表す。毎月4営業日目に更新される。

NY連銀によると、今回の改善は調査対象の全ての国・地域(中国、ユーロ圏、日本、韓国、台湾、英国、米国)で納期の短縮が見られたためとしている。また、英国での在庫減少も指数の大幅な下落に寄与したと指摘している。

今回特に改善を示した納期の短縮については、米国の主要港の1つロサンゼルス港での入港待ちコンテナ船数が20221月のピーク時から約9割減少していることなどからも確認できる(2022年8月26日記事参照)。混雑解消に伴って運賃も低下してきており、英国調査会社ドリューリー(Drewry)によると、上海からロサンゼルスまでの貨物(40フィートコンテナ)輸送コストは20221月中旬につけた年最高値(約11,200ドル)に比べて、98日時点(約4,800ドル)で50%以上低下している。

供給網の混乱解消とそれに伴う運賃の低下は、米国経済の重しになっている高インフレを抑制する要因となる。年末商戦の在庫確保が本格化し始める中、港湾の混雑解消は今回のGSCPIにも見られた納期の短縮化につながり、消費者にとっても明るい材料だ。

とはいえ、GSCPIでみれば、供給網の逼迫状況は長期的にはまだ高い水準にある。202112月のピーク時4.31と比べると、8月は約3分の1にまで低下しているが、新型コロナウイルス禍以前はゼロ近く、ないしマイナス圏で推移していた。年末商戦により需要が増加する今後、この傾向が続くかどうか注目される。

(宮野慶太)

(米国)

ビジネス短信 7f23129977163658