欧州中銀、主要金利の追加利上げ発表、今後さらなる利上げも示唆

(EU、ユーロ圏)

デュッセルドルフ発

2022年09月09日

欧州中央銀行(ECB)は9月8日、フランクフルトで開催した政策理事会後の記者会見で、3つの主要政策金利の引き上げを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。9月14日からそれぞれ0.75ポイント引き上げる。前回7月に行った政策理事会で主要金利の0.5ポイント引き上げをしていたため(関連実写 版 ブラック ジャック)、追加の引き上げとなるほか、2002年のユーロ導入以来、最大の引き上げとなる。政策金利(主要リファイナンス・オペ金利)は0.50%から1.25%、限界貸付ファシリティー金利(オーバーナイト貸し出し、翌日返済)は0.75%から1.50%、預金ファシリティー金利は0.00%から0.75%となる。インフレ率が依然として高過ぎ、目標の2%を長期的に上回る可能性が高いと判断し、引き上げを決定した。さらなる利上げも見込んでいる。

ECBは7月1日に終了したユーロシステムによる債券・国債の購入プログラム(APP:asset purchase programme)について、同プログラムの下で購入して保有する債券・国債を必要な限り全額再投資を継続する意向を維持することを示した。また、3月末に終了した資産購入プログラム「パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)」を通じて購入し保有する債券・国債の償還後の再投資期間については、少なくとも2024年末とする方針を維持した。

銀行の資金調達状況については引き続き注視するとし、2019年9月から行っている貸し出し条件付き長期資金供給オペレーション(TLTRO-III:Targeted longer-term refinancing operations)の満期を迎えたものが金融政策の円滑な伝達を妨げないことを確保するとした。

ECBのクリスティーヌ・ラガルド総裁は記者会見で、2022年上半期の経済の回復後、ユーロ圏の経済成長は大幅に鈍化し、2022年下半期から2023年第1四半期(1~3月)に停滞する予想だとした。

ユーロ圏の2022年の経済成長予測を上方修正、2023年以降は下方修正

記者会見に合わせて発表したユーロ圏に関するECBスタッフマクロ経済予測外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、2022年の実質GDP成長率を前回(2022年6月)予測値の2.8%から3.1%に上方修正した(添付資料表参照)。一方で、2023年については2.1%から0.9%に、2024年は2.1%から1.9%に下方修正した。消費者物価指数上昇率については、2022年は前回予測の6.8%から8.1%に、2023年は3.5%から5.5%、2024年は2.1%から2.3%に上方修正し、インフレが続く見通しを示した。

(作山直樹、ベアナデット・マイヤー)

(EU、ユーロ圏)

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