欧州中銀、金利を予想以上に引き上げ、新たな措置も導入

(EU、ユーロ圏)

デュッセルドルフ発

2022年07月22日

欧州中央銀行(ECB)は721日、フランクフルトで開催した政策理事会後の記者会見で、金利の引き上げおよび新たな債券買い入れ措置を承認外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしたと発表した。金利の引き上げは2011年以来初。

金利については、3つの主要政策金利をそれぞれ0.5ポイント引き上げるとした。政策理事会は前回20226月の会合では、7月にそれぞれ0.25ポイント引き上げの方針を示していた(2022年6月10日記事参照)。前回会合の方針を上回る今回の引き上げ幅については、インフレリスクへの最新の評価や新たな債券買い入れ措置を考慮したとした。今回の引き上げにより、政策金利(主要リファイナンス・オペ金利)は0.00%から0.50%、限界貸付ファシリティー金利(オーバーナイト貸し出し、翌日返済)は0.25%から0.75%、預金ファシリティー金利はマイナス0.50%から0.00%となる。新たな金利は727日から適用する。

また、ECBは、新たな債券買い入れ措置として伝達保護措置(TPITransmission Protection Instrument)を承認した。ユーロ圏への金融政策の伝達に対して深刻な脅威をもたらす、不当で無秩序な市場の動きに対抗するため利用が可能。TPIによる買い入れは残存期間1年から10年の公的部門が発行した債券を対象にしたものだが、必要に応じて民間部門の債券購入も検討することができる。買い入れ規模は金融政策の伝達に対するリスクの深刻さにより、事前の制限はない。ECBTPIの詳細も発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしており、それによると、TPIによる買い入れの基準は当該国において(1EUの財政枠組みを順守している、(2)深刻なマクロ経済の不均衡がないこと、(3)財政の安定性、(4)安定したかつ持続可能なマクロ経済政策があることだとした。

なお、「パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)」を通じて購入し、保有する債券・国債の償還後の再投資期間については、少なくとも2024年末までとする方針を維持した。

ECBのクリスティーヌ・ラガルド総裁は記者会見で、エネルギーや食料価格の上昇などにより「インフレ率は当面の間、望ましくないほど高い水準でとどまると予想している」と述べた。また、今後の金利についての方針は言及せず、「会合ごとにデータに基づき決定する」とした。

(ベアナデット・マイヤー、作山直樹)

(EU、ユーロ圏)

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