次世代トゥアス新港の第1期正式開港、2050年までにGHG排出ゼロへ

(シンガポール)

シンガポール発

2022年09月07日

シンガポール南西部に建設中の新港「トゥアス港」の第1期工事が完成し、91日に正式開港した。同港は4段階で開発し、2040年代の最終完成時には世界最大級の完全自動化ターミナルとなる見通しだ。また、2050年までに温室効果ガス(GHG)排出ゼロ(ネットゼロ)を目指す。

リー・シェンロン首相は同日の開港式典で「トゥアス(新港)は次世代の港となる」と述べた。同港は完全自動化ターミナルとなるだけでなく、超大型化しているコンテナ船舶に対応できる。また、シンガポール海事港湾庁(MPA)は港内の混雑化に対応するためにも、人工知能(AI)と機械学習を活用した次世代の海上輸送管理システムの導入も計画している。さらに、労働生産性の向上と環境対応のため、港内の移動車両やクレーンは全て自動化し、電化する予定だ。

同国では現在、都心部を含めて国内5カ所にコンテナターミナルがある。今後、この5ターミナルを段階的に閉鎖し、最終的に全ての港の機能をトゥアス港に集約する計画だ(2019年5月22日記事参照)。トゥアス港は、先端製造の研究・開発(RD)と製造拠点として開発中の「ジュロン・イノベーション地区」や、物流倉庫や工業施設などが集まるトゥアス工業地域に近接する。このため、リー首相は新港の設置によって「先端製造、コールドチェーン(低温物流)、電子商取引(EC)、物流が最も恩恵を享受する」と指摘した。

コンテナ取扱量でシンガポール港、世界第2

トゥアス新港のコンテナ年間取扱能力は2040年代の最終完成時に6,500TEU20フィートコンテナ換算)となる予定だ。シンガポールの港の取扱量は2021年に3,7467,600TEUと、前年比1.6%増加した(2022年1月17日記事参照)。同港のコンテナ取扱量は過去最高を記録したが、取扱量の伸び率が低下傾向にある(添付資料図参照)。

中国の上海港が2010年にシンガポール港を抜いて世界最大のコンテナ取扱量に浮上して以降、シンガポール港は世界第2位の地位を維持している(添付資料表参照)。隣国マレーシア南部ジョホール州のタンジュン・ペラパス港は2000年に開港したばかりだ。しかし、同港によると、20002020年に年間平均12%増の勢いで取扱量を拡大しており、2021年の取扱量が世界16位になった。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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