8月の米小売売上高は前月比0.3%増、自動車・同部品の販売が寄与
(米国)
ニューヨーク発
2022年09月16日
米国商務省の速報(9月15日付)によると、8月の小売売上高(季節調整値)は前月比0.3%増の6,833億ドルとなり(添付資料表参照)、ブルームバーグがまとめた市場予想の0.1%減を上回った。なお、7月の売上高は前月比横ばい(速報値)から0.4%減に下方修正された(2022年8月18日記事参照)。
自動車・同部品、フードサービス、建材・園芸用品などが押し上げ要因に
業種別にみると、自動車・同部品が前月比2.8%増の1,280億ドル、寄与度0.50ポイントと全体を最も押し上げた。次いで、フードサービスが1.1%増の862億ドル(寄与度:0.14ポイント)、建材・園芸用品が1.1%増の432億ドル(0.07ポイント)で増加に寄与した。一方、ガソリンスタンドは4.2%減の644億ドル(マイナス0.42ポイント)と減少した。
今回の発表を受け、バンクレート・ドット・コムのシニア業界アナリスト、テッド・ロスマン氏は「小売業者は、特にインフレ率以上に売り上げを伸ばしたいと思うだろうが、現実的にそれを望めるとは思えない」と述べた上で、「パンデミックが後退する中で、インフレは高止まりしているため、消費者の購買習慣は変化している」と指摘した(ABCニュース9月15日)。直近8月の消費者物価指数は前年同月比8.3%上昇で、ガソリン価格の低下を受けて、2カ月連続で鈍化しているものの、依然として高い水準で高止まりしている(2022年9月14日記事参照)。
また、民間調査会社コンファレンスボードが8月30日に発表した8月の消費者信頼感指数は103.2と、7月(95.3)より7.9ポイント増加し、4カ月ぶりの上昇となった(添付資料図参照)。内訳をみると、現況指数は145.4(7月:139.7)で5.7ポイント増加し、3月(153.8)以来5カ月ぶりの上昇となった。また、6カ月先の景況見通しを示す期待指数は75.1(7月:65.6)で9.5ポイント増といずれも増加した。
コンファレンスボードの経済指標シニアディレクターであるリン・フランコ氏は同日の発表で、「期待指数は9年ぶりの低水準となった7月の数値から改善したが、依然として80を下回っており、景気後退のリスクが続いていることを示唆している」と述べた。一方、消費者の購買意欲は7月の低下後に上昇し、休暇に関する意欲は8カ月ぶりの高水準となった。先行きについて、同氏は「8月の信頼感の改善は消費の支えとなるかもしれないが、インフレと追加利上げは依然として短期的に経済成長に対するリスクとなっている」と指摘した。
(樫葉さくら)
(米国)
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